洞窟にて

 ここは、星見の洞穴。

 と言っても見えるのは星ではなく光る菌糸なのだが、今は関係ない。


 さっき次元衝突で星に溜まった魔力が浪費されると言ったのだが、何か違和感があっただろう?


 次元衝突という現象は二つの世界がぶつかる現象の事。

 そう、もう一つの世界にも同様神秘があるはずなのではないか?

 そう思っただろう。


 答えは部分的にYESだ。

 向こうの世界は地球と比べて発展が遅れている。

 つまりまだ神秘の蓄積は進んでいる。


 しかし、これがとんでもなく厄介だった。


 地球に意識を与えてしまったんだよ。

 地球の内部に抗原体を作り出した。

 それが“原初”。

 星に抑止力というモノを与えたのは紛れもなく向こうの世界。

 原初と呼ばれる理を体現した生命が現れたのも向こうの世界の影響なんだ。


 お、これだ。

 ここには地球の造った原初の存在が描かれている。

 改竄されたシナリオと共にな。


 “星と共に2体の“リュウ”が現れる。

 創造と破壊を司るツガイのリュウ。

 星は破壊の持つ闇と光と炎のみ。

 そこに創造の持つ水と風によって海と大地が作られる。雷で大地を抉り、山を作る。

 次に現れたのはケモノ。

 大地の上に森を作り、命を生み出す。

 生まれた獣はケモノの子として星を駆け回る。

 海の中に現れたフネが、泳ぎ命を撒き散らす。

 魚となり、優雅に水の中を泳ぐ。

 獣からはヒトが生まれ、ヒトは人を生み、ツルギを生み出す。人はツルギを手に取り、争う”


 ……残念だが、ここまでしか描かれていないんだ。

 これが原初シリーズ。

 次元衝突によって別世界から持ち込まれた概念であり顕現してしまった架空の抑止力。


 これから起こる異常を止めるために現れる存在さ。

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伝承〜原初にまつわる伝説とその予兆〜 萎びたポテト @hajimetsukasa

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