第25話 悩み
暇だ。
いつでも練習風景を上から撮影出来るように置かれた椅子と勉強用の机、多めの水分と先生との連絡用携帯、主に撮影の指示が来る。
全体としては面白い構成だが、一曲一曲の動きにまだ荒が目立つ。
審査員の講評に一番多く書かれていた。
一動きごとのセクションを繰り返し撮影し、それを休憩中に部員に共有し、映像を見る。長い休憩の時には部員同士で確認作業もしているらしい。本当によくやるよ。
ここまで来たなら上位大会への推薦とか関係ない。願わくば骨折治りませんように、お願いします。
何でもしますから、部長の臭い靴下くらい嗅ぎますから許してください。
「こんにちは光先輩」
振り返ると百円アイスの松山が立っていた。
「隣いいですか?」
「う、うん」
やりづらい無言だ。ここに来て無言はよほど真剣な悩みだろうと思えた。松山は涙ぐんでいた。
え、これやばいやん。どうしよ。これ見られたらからかわれるやつやって、それを松山は望んでいない。ズーズーと鼻水を吸い、鼻声で僕に話しかけた。
「先輩は練習嫌すぎて、ここから飛び降りて怪我でもしよかとか思ったことありますか」
あるぅ。
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