自救行為の禁止 その2
動機は、巡査部長への昇任試験を妨害するため、であった。
相沢は、何年も試験に落ち続けている。
その挫折が相沢の心を屈折させ、同僚を蹴落とすような行為に及ばせたのだろう。
成瀬先輩が相沢の取り調べをしている。
そこに、俺も同席した。
相沢は、俺に聞いてきた。
「俺が盗ったのを分かっていたんなら、なんですぐ取り返さなかった? なんで先輩を呼んだんだ?」
「ふふふ……盗品を実力で取り返せば、俺まで窃盗犯や強盗犯になってしまうからな。盗まれたものは正当な手続きで取り返す。俺がガキの時に、どっかの警察官が教えてくれたことの受け売りなんだけどな」
俺がそう言うと、隣にいる成瀬先輩がボソッとつぶやいた。
「あ、その警察官、俺」
《終》
刑法第235条【窃盗罪】 神楽堂 @haiho_
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