エピローグ
――この夏の日を、ずっと覚えていたい。
夕陽で真っ赤に色づいた、ガラガラの車内で二人は眠っている。
大声で叫んで、子どもみたいに疲れ果てるまで遊んで、ぐっすり眠って。
私たちはずっと、あの頃と変わらない子どものままだった。
無理に覚えていようとしなくてもいい。
もう囚われる必要もない。
今はこうして遊んで。遠くの大学に行っても、夏には帰省して。たまに居酒屋で集まったりして。誰かが結婚したら祝福して。年甲斐もなく海に行ってはしゃいで。
きれいな思い出がつまったアルバムとして引き出しに大事にしまって、たまに思い出してページをめくるような……そんな三人になれそうだった。
一番に愛する人が他にできても、なんとなく疎遠になっても、喧嘩しても。
ふたつの点がひとつになったり、直線になったり、切り離されたりすることはない。
私たちは、親友だから。
きっとそれだけでいいから。
――私たち三人はきっと、永遠に壊れない三角形の上にいる。
青息吐息 ひつゆ @hitsuyu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます