◆一の三◆彼女と僕、再確認する。
僕はしばらく入院生活を送った。
足は骨折していたから、リハビリが必要だった。
そんな僕に会いに、彼女は毎日来てくれた。
彼女に会えるだけで、僕はリハビリを頑張れた。
先生にも、すごい回復力だと褒められた。
そして退院する日、僕は夢のことを話した。
彼女を助けようと道路を飛び出した時のことは覚えていないこと。
気がついたらいつものように交差点に立っていて、仕事する毎日を送っていたこと。
ある日彼女が現れ、僕を救ってくれようとしていたこと。
彼女は僕の話を黙って聞いていた。
「僕はその夢のおかげで、勇気が出たんだ。
こうしていてはいけないって。何せ僕はてっきり君が死んだのかと思ったから」
ようやく彼女は口を開いた。
「それはこっちのセリフよ。本当一時は助からないかと思ったわ。それに何だかその夢、私の気持ちが反映されているみたい。あなたが助からないかもってなったとき、私はこのままあなたも死んで、私も死のうと思ったくらい自分が憎かった。助かってほしい、でも私はどうしていいかわからない。見守って祈ることしか出来ない。だけど、あなたは生きて私の元に帰ってきてくれた。良かった。おかげであなたへの気持ち再確認出来たわ。ありがとう」
はっきり覚えてる。
彼女の表情、ひとつひとつ。
こんなにも自分のこと思っていてくれた彼女、僕は彼女を自分の方に引き寄せ、キスをした。
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