ACT12

 これで事件は終わりだ。

 何だよ?

”お前の話は何時も尻切れトンボだな”だって?

 何とでも言え。

 これ以上本当に何もないんだからな。

 それでも聞きたいのか。

 仕方ない。じゃ、特別だぜ。


 俺は自分の集めた報告書を、件の”悪徳弁護士”氏に提出した。

 当然弁護士氏は警察に告訴

 二階堂紗季院長は必死に否定をしたが、あれだけがっちりした証拠があったんだ。

 当然メディアにも知れ渡り、毎日のように取材やら事情聴取やらで、病院経営もへったくれもあったもんじゃない。

 彼女は理事長と院長の座を辞任せざるをえなくなり、ヒラの理事だった夫も責任を問われ、同時に辞任した。

 ここで妹の陽子が後を引き継げば、それで問題はなかったんだろうが、彼女は”自分は後を継ぐつもりはない”と宣言したため、また混乱してしまった。

 しかしあれだけの大病院だ。

 潰すわけにも行かない。

 そこで乗り出してきたのが創業者である徳大寺慎太郎氏だ。

 彼は老骨に鞭打って院長と理事長に復帰、病院経営の改革に乗り出したって訳だ。


 さあ、本当にもうこれでしまいだぜ。

 今回はギャラもなし。

 俺としては何の得にもなってないんだ。

 はぁ?

”それでもまだ納得できない”だって?

ああ、あの”塔の上のラプンツェル”のことか。

 彼女は今、軽井沢にある父親の別荘で静養中だとさ。

 一度本人から手紙が来て、俺に礼がしたいと言ってきたが、断固として断った。

 ギャラなんか貰う筋合いはない。

 今回は完全なお節介だからな。


 さぁ、さぁ、本当もうこのくらいにしといてくれよ。

 俺は今、我がネグラ、ペントハウスのテラスで酒を片手に惰眠を貪っている。

 当分は遊んで暮らせそうな銭がのこっているかな。

 じゃ、あばよ。


                        終わり

*)この物語はフィクションです。

  登場人物、事件その他については、全て作者の想像の産物であります。

                              

 

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”タスケテ・クダサイ” 冷門 風之助  @yamato2673nippon

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