悪逆の勇者よ斯く在れかし
南瓜の王冠
エピローグ或いは嘗てのプロローグ
その世界は滅びかけだった。
勇者しに神々は敗北し生きとし生ける者の過半数が死に絶えた世界。
絶望がだけが世界を満たし侵略者たる邪神達が笑う中…ある一人の人物が別の世界から落ちて来た。
「は?」
誰が思うだろう。碌でもない適性しか持たず特別な力もない選ばれし宿命も無い。
地獄の様な世界で生きる為に落ちて来た場所のすぐ近くに突き刺さっていた聖剣だったものを勝手に持っていって詐欺の為に勇者を語った偽物が本当に世界を救うなんて。
後に人類を救い邪神の悉くを殺し悪虐の勇者と讃えられる彼の物語がここに始まった。
そして、ここから先はそのお話が終わってから…異世界から帰還した危険人物の永い永い後日談の物語だ。
◇
私の名前は佐藤 奏…こんな名前だが普通の男子高校生だ。正確にはだった。
体感だと十年前、この世界の時間軸だと1分ほど前に別の異世界に落ちた。
因みにこの落ちたは概念的な意味であって物理的な意味じゃ無い。
まあ、身内や幼馴染と違って普通に普通な高校生だった私は色々と異世界で地獄を見たり見せたり造ったり滅ぼしたりしたのだが…転落前の状況がよく思い出せない。
元々記憶力は良い方じゃ無いので仕方がないが…転落前は確かコンビニスイーツを買いに行ったんだったけな?〔空間収納〕のスキルの中から取り出したスマホを見る限り今日は土曜日、2日後が学校みたいだが。
財布に金は入っているしモンブランでも買うかとコンビニ向かって歩き出した。
コンビニまであと5分そこらの人気の無い公園。ショートカット何てみみっちい事考えて公園を突っ切ってコンビニに向かおうとしたのが悪かったのか…そこそこの広さの公園の中心で幼馴染と悪魔的な何かが相対していた。
…いや言い訳は止そう。普通に気付いていた、気付いていたけど関わりたくは無かった。何だかんだ情のある幼馴染じゃなかったら完全に無視していた。
あとあれ悪魔的な何かじゃなくて悪魔だ。異世界で覚えたアイツらの気配と同じだもん。多分伯爵級かな?悪魔王でも無い限り大体雑魚何で細かい差が判らない。とある事情からそれなりの頻度で狩っていたから手際の良い殺し方は解るんだけどね。あと肉はそれなりに美味。高い牛みたいな味がする。悪魔のタンシチュー(比喩抜き)は絶品だぞ。
「…奏っ!何で此処に!?…」
「ほう…丁度良い。見せしめに殺してやろう」
幼馴染の見た目は一言で言うなら学園の王子様系女子だ。但し巨乳、アレでも抑えている方らしく本来の大きさは良く知らないがエロいなあと思う。黒髪黒目のウルフカットも似合っている中性的な美少女だ。正直言おうフェチだ何なら割と良く勘違いされるけどもう一人の幼馴染よりこいつの方がタイプなまである。
因みに名前は
それはそれとして…何で爵位級の悪魔は何奴も此奴も自信満々何だろうな?
地を蹴り爪で引き裂こうとして来たので
「何っ!?だが悪魔はこの程度ではっ!…ぁあ…ぁ?」
因みに悪魔の本当の心臓は座標が重なる少しズレた別の空間にあるので心臓を抜く際は対策をしておく事をお勧めする。
具体的には藁人形の要領で抜き取った擬心臓を元に本物の心臓に呪いをかけるか、私みたいに『殺したから死ぬ』を筆頭とした概念攻撃をすると良い。慣れると収穫の手際がどんどん良く成るから。
「かなっ…で?…えっと…大丈…夫?」
「何で疑問系?」
おっぱいがぶるんぶるん揺れてる、ブラジャーじゃ抑えきれてないの本当にエロい。
は〜シコい。
「………取り敢えず疑問は置いといて無事で良かった。それはそれとして君は僕の何処を見てるの?」
「揺れるおっぱいだが?」
「にゃにゃにゃにゃに言ってんだよ君はっ!そっ…そう言うエッチなのは良く無いんだぞ!?」
こいつ見た目に反して感性が結構子供なんだよな。好物はプリンだったりする。
私もプリンは好きだけどね。
「うぅっ…う〜う…ぐぬぬぬぬ…取り敢えず僕の家に行こうか。細かい事情はそこで説明するよ。奏の事情も聞きたいし。」
へ〜〜、面倒くせっ。
「露骨に嫌そうな顔をするんじゃ無い。全くもう…ちょっと待って何で悪魔の死体を持って行こうとするの?」
「刺身にすると美味いんだよね」
「あほっ!何てものを食べようとしてるんだ君はっ!危ないからやめなさい…ほら心臓を手から話してっ!!」
ああっ折角の夜食が。
勿体無い。あっちではご馳走だったんだからな!
「取り敢えず処理には陰陽組合に連絡入れとくから行くよ!」
うい。
悪逆の勇者よ斯く在れかし 南瓜の王冠 @pumpkinthecrown
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