ツリーハウス殺人事件

五、挑戦

挑戦 SIDE麻生花純

　さて、情報は出揃いました。

「天使が堕ちてきた事件」こと、ツリーハウス殺人事件の真相に至るだけの手がかりは今、あなたの手の中にあります。

　正直、最初はすごく暗い気持ちで挑んだ本件ですが……あいつ、本当にバカで、迷惑で、でも、大切で。だから私は一生懸命事件に挑みました。

　まだ分からない、という人たちのために少しばかりのヒントを。挑戦はまた秀平からも繰り返されますので、その時までの参考になれば幸いです。

＊

　一、どこから落ちたか……？

　櫓（やぐら）の上には何もありませんでした。しかし着地点はどう考えても櫓床面です。ここで思い出してほしいのですが、櫓は生徒が組むものですね。元からあったものではありません。例えばこれが地面との激突だとすれば難解ですが、櫓なら、まだ……？　

　二、ツリーハウスについて

　寸法を思い出してください。

　三、工具について

　青の塗料が付着しています。玄翁（ハンマー）然り、釘然り。

　しかし釘は櫓からは見つかりませんでした。いえ、厳密には櫓ステージ裏面、本来あるべき場所にはなかった。それどころか釘穴の周辺に青の塗料が擦れた跡がありましたね。ここまで明らかになれば分かると思います。

　四、指紋について

　工具についたであろう指紋を問題にしています。

　この工具には多くの生徒が触れています。当然冬荻祭の準備活動に参加していた秀平も、それから犯人もです。

　つまり犯人からすると「いや、自分だって櫓建設時に触っているんだからそりゃ指紋も出てくるよ」となるんです。

　ところが……？

　五、死因について

　思考実験により、最低一メートル程度高さがあり、打ちどころが悪ければ人は死に得ることが分かったかと思います。櫓周辺で一メートル以上高さがあるところ、なおかつ特別な苦労が必要なく上れるところはどこでしょう？　

　六、木材について

　ツリーハウスの問題に気づけた人はこの問題に辿り着くと思います。しかし思い出してください。賢吾くんが言うには、この木材、確か……？　

　七、？？？

　どこから落ちたか？　について考える時、障害物がひとつありますね。しかしこれについては、その障害物は可動だったことを思い出してください。

＊

　私からは以上です。