第五十回 コンテストと公募について語りたい

 はじめての方はよろしくお願いします。

 お馴染みの方はようこそ懲りずにお越しいただきました、虚仮橋陣屋(こけばしじんや)でございます。




 さて記念すべき第五十回ですが!




 特になにか考えていたワケでもなく、至って平常運転で粛々しゅくしゅくとタイトルどおり「コンテストと公募」と言うテーマで綴ってみたいと思います。芸のないヤツめ……。


 では、早速お送りします。




■コンテストと公募の違いって?


 本来の言葉の意味でいえば、それぞれはこうなるのかと。



「コンテスト」とは、能力や創作物を特定の集まりや広く一般から集め、その優劣を競うもの。


「公募」とは、人材、企画、株式、創作物などといったさまざまなものを広く一般から集め、より優れたものを採用するもの。



 つまり「コンテスト」とは、「公募」の中のひとつのカタチに過ぎないということです。また、「コンテスト」の場合には優劣を決めることが目的ですが、「公募」の場合にはより優れたものを採用するのであって、不採用だからといって「イコール劣っている」にはなりません。


 この世の大半の「コンテスト」は、あえて「劣っている」ものをピックアップはしません。ですが、結果として評価点なり投票数で「どちらが優れ、どちらが劣っているか」は明白になります。またこのことから、「コンテスト」は相対評価になりがちで、「公募」は絶対評価である、と言い換えることもできます。


 では、Web小説界隈の「コンテスト」と「公募」の場合はどうでしょうか?



■感覚的な「違い」


 ことWeb小説界だけに限定すれば、こうなると思います。



「コンテスト」とは、オープン形式で、読者による加点(いいねの数やPV数、★やレビューの獲得状況)により一定の指標を設け、優秀なものを選り抜き、その優劣を審査するもの


「公募」とは、クローズド形式で、審査員および編集者による加点(構成力・文章力・エンタメ力など)により一定の指標を設け、優秀なものを選り抜き、その優劣を審査するもの



 このルールに沿っていない「コンテスト」や「公募」ももちろんあるとは思いますが、概ねこのような違いがあると思っています。本来の意味とは少し異なっていますよね。


 さて、この「定義」が正しいとした場合、そこに有利不利は生じるのでしょうか?



■どちらにも利点はあるし、難点もあるのが現状


 こけばし自身、「いっくん大賞」(第三十九回を参照のこと)という自主コンテストの運営として参加させていただいた経験がありますが、「有利も不利もある」と思うのです。



 まず「コンテスト」に関してですが、これもまた第三十七回で綴らせていただきましたとおり、登録したてのまったくの新人Web作家には厳しいと言わざるを得ません。


 とにもかくにも、誰かに読んでもらって、面白かった! と思わせないといけません。いえ、まずはなにがなんでも「読んでもらうこと」、これに尽きます。なので、カクヨムに関していえば、この時期、通年より増して頻繁に、レビューが書かれたり、★が投下されたりします。その目的がすべて「お礼目当て」とは思いませんけれど、確実にプラスに働きます。


 しかしながら、それはあくまで「一次審査」に限った話で、「二次審査」以降は審査員(編集者)によるブラックボックスでの選考に入ります。


 たとえどんなに読者受けが良くても、出版社の意向に反した作品の受賞は難しくなるでしょう。これは「売れる」という確証がなければ、たとえ優れた作品であっても受賞は厳しいと思われます。特に「書籍化」を副賞として掲げている場合、出版社も商売なワケですから仕方ありませんよね。



 一方、「公募」ならばどうでしょうか?


 たしかに「公募」であれば、書きはじめたばかりの処女作であっても受賞の可能性はあります。はじめから審査員(編集者)によるブラックボックスでの選考ですから、作品の公開・非公開に関わらず、面白いものが選出されることになります。


 ですが、ここでのポイントは選考するのは「審査員(編集者)」である、ということです。


 過去の自主コンテストでの経験上、何千、何万と集まった作品に複数の「審査員(編集者)」が漏れなく目を通す、というのは非常に難しいことです。一次審査ではひとり、多くてふたりではないでしょうか。その「限られた読者」の興味をそそり、ハートを鷲掴みにしなければならない、ということになります。むしろ、チャンスが減った、そう考えることもできそうです。


 某公募系コンテスト(またややこしい書き方を……)では、二次審査まで通過した作品に対して書評を必ず送ってくれる、というサービスがありました。こけばしはあえなく「三次堕ち」しましたけれど、書評はふたつでした。うがった見方をすれば、二次まで行って、ようやくふたりに読んでもらえた、ともとれるワケです。


 どちらが有利、不利、というのは、なかなか判断ができないんですねえ……。



■ニーズを把握することが大事


 しばしば創作界隈で話題になるのは、



「今の(未来の)ニーズを把握することが大事」



 ということです。


 もちろん、例は限られますけれど、想定されるニーズに反した作品が、その後の流行を作ることもありました。鎌池和馬センセの『とある魔術の禁書目録』が「学園異能物」ブームの先駆けでしょうし、川原礫センセの『ソードアートオンライン』が今も人気の「VRMMO」ジャンルを生み出したと言えると思います。


 しかしながら、それらはあくまで突出した例であり、某M氏という優れた選球眼をもった編集者がいたからこそ日の目を見た、そういう考え方もできるでしょう。なので、王道的攻略法を考えるなら、「今のニーズ」ひいては「未来のニーズ」を研究し、分析して作品に取り入れることが必須となります。


 特に、こけばしはこれが苦手なのですけれど、コンテストの概要として公開された「主催者側が求める作品とはなにか」を十分に理解することが大変重要です。


 たとえば、まもなくはじまる、



 ■第九回カクヨムWeb小説コンテスト

 https://kakuyomu.jp/special/entry/kakuyomu_web_novel_009



 を見てみると、「応募作品に求めるもの」というのが明確に書かれていますよね。それぞれの募集カテゴリーでどんな作品を求めているか、さらには選考に参加する各編集部の紹介のところでも、「ウチはこういう作品を求めてます」と書いてあったりします。それと同時に、選考する各編集部から出版されている作品群から、傾向を知ることもできるでしょう。


 これをコンテスト概要が発表されてから、しっかり理解して、作品づくりに取り入れてきた人であればこそ、それ相応の成果を得ることができるのです。


 でも……苦手なんだよなぁ、こけばし(二回目)。



■とはいえとはいえ


 だからといって、特に身構えることはありません。


 年に一度の「お祭り」でもあるワケで、はじめてカキカキする人でも、この時期に処女作を公開するだけで、ぐんと注目され度がアップするのですから。やるなら今でしょ! です!


 もちろんモノカキさんに限らず、読み専の方にもウレシーキャンペーンがいくつも実施されますから、みんなで楽しみましょー!




 ……と、優等生的発言で今回のエッセイは終了ですwww




 おっと、そろそろお終いの時間ですね。

 次回は別のテーマにてお会いしましょう。


 どうぞ、よろしくお願いいたします。



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