第三十二回 人工知能ALICEは電気白ウサギの夢を見るか? その一羽

 はじめての方はよろしくお願いします。

 お馴染みの方はようこそ懲りずにお越しいただきました、虚仮橋陣屋(こけばしじんや)でございます。


 さて第三十二回ですが、昨今の人工知能のめざましい進歩と、その活用、そして、人工知能が生んだ新たな問題・課題について綴っていきたいと思います。


 では、早速お送りします。




 ■人工知能とは


 人工知能(Artificial Intelligence)は、コンピューター黎明期の一九五〇年代より研究開発が行われてきた、「言語の理解や推論、問題解決などの知的行動を人間に代わってコンピューターに行わせる技術」であり、「コンピューターによる知的な情報処理システムの設計や実現に関する研究分野」です。



 年齢不詳のこけばしさんは、祖父に買ってもらったパソコンで、「人工」を作って遊んだりした記憶があります。なぜ「無能」かといえばドストレートな悪口ではなくて、当時こけばしが所有していたパソコンには、現在のような大容量の「記録媒体」がなく、電源を切ればキレイさっぱり消え失せてしまう「記憶媒体」しかなかったためです(お察し案件)。


 今考えると信じられないことですが。

 なにか成果物を保管・保持するためには、カセットテープに「録音」する必要があってー。


 もうこの世は、カセットテープなんざ生まれてこの方目にしたことがない人すらいる世界。FD(フロッピーディスク)ですら「先輩! これ、入んないッス!」と言われ、MD(ミニディスク)だって「……は? なんぞこれ?」と首を傾げられる時代ですよね、ガチィで。



 それはともかく。



 ベースの仕組みと設計思想はずいぶん昔からあったのですけれど、近年そのAIが第三次ブームを迎え、さまざまなところで我々研究者以外の一般人でも触れる機会が増えてきましたね。


 なかでも二〇二二年末頃にOpenAIからリリースされた生成AI「ChatGPT」は、さまざまな質問に対して、瞬時に、かつ柔軟に回答を行うことで広く注目を集めました。今や各企業もAI開発やその技術転用に躍起になり、もはやこの状態は「第四次」の人工知能ブームなのではないか、との声もあるくらいです。


 では、この生成AI「ChatGPT」は、我々モノカキにどのような恩恵を与えてくれるのでしょうか?



■生成AI「ChatGPT」で可能になること


 前述のとおり、また、その名の示すとおり、「ChatGPT」はまるでトークアプリのようなUI(ユーザーインターフェース)を持っておりまして、チャット欄に質問文を書き込むことで、その質問内容、そして微妙な言葉のニュアンスに応じて回答することができます。


 ■ChatGPT

 https://chat.openai.com/


 たとえば、こんな質問にもこたえてくれます。



「ハイファンタジーの解説をお願いします」

「ファンタジー世界に登場する知能を持ったモンスターの例を二十個あげて」

「異世界冒険ファンタジー小説で、主人公が神より授けられたユニークスキルを二十個考えて」



 結果は実際にご自分でお試しいただき、その目で確かめていただければと思うのですけれど、最初に二~三行の概要説明があって、その後に具体例を挙げて簡単な説明をつけてくれて、締めの文章まで書いてくれちゃったりします。ぐう有能。


 ただし、独創性や、応用力には欠ける部分もまだあって、作者様によっては不満をお持ちになることもあるかもしれません。しかし、日々アップデートを重ねている最中ですから、いつかはその不満や問題点も解消されていくのかもしれませんね。


 元々が英語圏向けのものを日本語対応可能なようにローカライズしているようで、英語で質問文を投げると、より詳細な回答が返ってくる場合もあります。翻訳面倒……でも! その翻訳すら「ChatGPT」は可能なワケで、



「以下の文章を英訳して。『○○についての詳しい解説をして下さい』」

   ↓

(英訳された質問文をチャット欄に入力→『ChatGPT』が回答)

   ↓

「これを日本語に訳して」



 ということで実現可能。スレッドごとに対話は連動していますから、「これ」で通じてしまうんですね。なお、現在のところは利用に関しては無料です(有料プランもありますけど)。


 すげえな! 人工知能って!



■しかし……生成AI「ChatGPT」が可能にしてしまったこと


 ですが、もちろん問題点もあります。


 AIなワケですので、叩きこめば学習し、それを新たな知識とすることもできます。つまり、動画サービスなどでよく見る、「『ゆっくり』さん(誰とは言いません)たちの口調で解説をお願い」なんてリクエストにも応じてくれます。これはごく一般的なモノ(フリー素材)ですので、さしたる問題はないのですが――。



「村上春樹の文体で、太郎と花子の恋愛短編小説を400字程度で書いて」



 こんな「おいおい……」という質問(命令?)にも一切の躊躇なく応じてくれます。


 まあ、まだ安心してください。

 この質問の回答を見たこけばしは、少し、ふふっ、となりました。



「~(略)。太郎と花子の出会いは、東京の雨の夜に始まった小さな奇跡だった。彼らの恋愛は、静かで美しいものとなり、雨の降る夜が二人を結びつけたのだった」



 そうじゃねえよ!(ツッコミ)

 でも、ほっ、と胸を撫でおろしたのも事実だったり。



 これはまだ(?)良いのですけれど、実際に実現化され、そしてこけばし自身が見事その影響を実感せざるを得なかった出来事があります。


 それは、「レビューを書くこと」です。

 そうなんです、書けちゃうんです……。


 たとえば、ですね。



 ■異世界喫茶「銀」

 https://kakuyomu.jp/works/16817330654556345312



 この拙作の第一話「異変」をコピーしてメモ帳に貼りつけ、文頭に「以下の文章を読んで、ポジティブな感想文を50文字くらいで書いて」と追記してから数行改行して入力します。


 すると――。



「文章が非常に興味深く、緊張感に満ちていました。登場人物の孤独さと、地震に立ち向かう決意が感じられ、特に最後の瞬間のドラマティックな描写が印象的でした。筆者の言葉選びと文章構造が魅力的で、物語に引き込まれました」



 くらいのことは、ほんの数秒で返してきます。

 できてしまうんです。


 そして実際に、深夜にそれぞれ五話目まで「いいね」を連投された上、二作品に対して★とともにこのようなレビューをいただきまして、こけばしはさすがに怒りにうち震えました。


 分かるんですよ。

 だって、作者ですもの。当たり前じゃないですか。


「フォークト=カンプフ感情移入度測定法」なんて崇高すうこうなものに頼らなくったって、これが一文字たりとも「読んでいない」レビューなんだってことくらい分かるんです。その方は、どこかの方が通報してくれたのでしょう、今はもう「カクヨム」上にはいないようです(少なくとも表面的には、ですが……)。けれど、あなたのレビューとそのお名前は、なかなかメールを整理しないことに定評のあるこけばしのgメールの中に、しっかりと残っています。


 デジタル・タトゥーは消えません。

 そして、こけばしの記憶があなたを覚えています。




 そろそろお終いの時間です。


 すみませんが、次回も同じテーマにてお届けします。

 どうぞ、よろしくお願いいたします。



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