第36話 いじめ解決過激派
三組のいじめ解決メソッドは驚くほど有効で、多くの成果を上げた。
解決までに時間を要する案件では、児童や生徒のお見送りなど、被害防止対応も欠かさない。
他にも被害者の自殺防止のため、話し相手や遊び相手になったりもした。
そして、それが布教にも繋がる。
いじめ被害者や、その両親の感謝は当然として、被害者の友達や教師なども、三組に好意を抱き、入信する者も多かった。
それどころか三組の活動に共感を抱く者達が、入信を希望することも増えていく。
宗教よりも、ボランティアに近いと思い込んでのことだろうが、一郎はなんでもよかった。
入信さえさせれば、洗脳など容易いことだとわかっていたのだから。
同時に、これまで以上に厄介ないじめ解決依頼も舞い込むように。
それでも三組は、いじめの百パーセント解決をあえてうたった。
解決まで諦めず、活動を終わらなければ、嘘ではない。
いじめの中に明確な犯罪行為があれば、学校のメンツも無視し、警察へ情報や証拠つきで通報もした。
それができない、陰湿かつ悪質なものであれば、加害者の親や、その職場にまで事実を周知するなど、犯罪すれすれのことも行う。
それでも駄目ならば、匿名で個人情報をばら蒔き、不特定多数の者に加害者を攻撃させるようにもなった。
だが、それでも解決しない場合は――。
ついに犯罪にも手を染める。
大きな車を持ち、力も強い大学生の信者数人により、いじめ加害者を拉致。
そして監禁したのだ。
うっかりエスカレートするということもありえるため、この場にはそれを指示した一郎も居た。
監禁された加害者は罵倒と、チェーンソーなどの脅しですぐに屈し、泣き叫んで許しを請う。
完全に、精神的に打ちのめされていた。
だが、簡単に返す訳にはいかない。
一郎の部下である信者の一人が、椅子に縛り付けられた加害者へと、焼いた肉を食わせる。
「どうだ、腹が減ってるとうまいだろ?」
「うまいです……」
「何の肉かわかるか?」
「……豚?」
「豚か!はは!傑作だな!」
男達は声を上げて笑った。
そして、告げる。
「……犬だよ」
「……えっ」
いじめ加害者の顔から血の気が引き、一気に青ざめた。
男は続ける。
「ショコラちゃんも本望だろ、飼い主にうまいって言って貰えてな」
「うっ、あああ……あああああっ!?」
完全に発狂していた。
それを皆で嘲笑う。
「はっはっは!こいつウケる!」
「おえぇっ」
びしゃびしゃと、吐瀉物が床で跳ねた。
「げぇっ!?吐きやがった!?きったねえな!?」
「ショコラがかわいそうだろ?まだ残ってるぞ?食えよオラ!?」
「うぶっ!?んっぐっ!?ヴォエッ!?」
「ぎゃっはっは!また吐きやがった!ショコラにゲロかけてるし!ショコラをゲロにしたら駄目だろぉ!?」
胃の中も空になったいじめ加害者が、啜り泣きながら呟く。
「うぅ……なんで……こんなこと……」
「いじめをして反省もしないからショコラ死んじゃったな?家族も悲しむだろうな?お前の馬鹿な行動のせいで馬鹿犬も殺されて、息子に食われてさぁ!?」
「あああ……ンぶっ!オエッ!?うっ、うぅ……!」
――もう二度と、こいつはいじめをしないだろう。
そう一郎は判断し、このいじめ加害者を解放した。
もちろん先程の肉はただの豚であり、彼の飼っていた犬のショコラは無事だ。
だが、これで十分に懲りただろう。
家族やペットのことすらも、こちらが調べているという事実もまた脅しになり、抑止力となるはずだ。
こうして一郎達三組は、教団内の一部で情報を共有し、こういった強引な手段も取るようになる。
結果、三組は順調に拡大していった。
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