初仕事
源治郎が領地に着いて数日が立った頃。
複数の町の人達が、源治郎の元を訪れた。
「領主さんや。わいら庶民は、山賊達に米を半分以上持ってかれ、食うに困るだべ。」
町長を始めとする者達が見窄らしい格好しお願いに来ていた。
源治郎は苦言な顔で
「分かった。今月の米に関しては徴収しないでおこう。」
「ありがとうだべ」
町の者達は、源治郎の言葉に歓喜した。
源治郎は、山賊達の根城を掴むため使いの者達に情報収集させた。
「半蔵。領民を困らせている山賊達の根城を調べてくれ。」
「御意」半蔵は、音も出さずいつその場に行ったのかも感じさせずに立ち去った。
その日の夜。
源治郎が寝室で詩を書いていると半蔵が戻ってきた。
「主、町を困らせている、山賊の根城を発見した。」その後、文が源治郎の机に落ちてきた。
源治郎は半蔵の文を確認し、山賊達を討つために支度をした。
「これは、父から譲り受けた刀。」
この刀の刀身に東 刀と削られていた。
この刀は、源治郎がこの城戸町に向かう前、父 薙から受け取った刀になる。
その際、父上から「この刀は、私を憎む者の刀であり、私の戒めの刀でもある。」
源治郎は領民への嫌がらせに怒りの表情を浮かべ、半蔵の文に記載された場所まで馬を走らせる。
源治郎が山賊の根城に着くと源治郎は大きな声で
「やあーやあー!我こそは、城戸町の領主 西 源治郎である。うぬら成敗しに参った。」
「奇襲だー」見張りの山賊は大声で叫ぼうとしたが息絶えた。
半蔵が音を立てずに見張り台を制していた。
半蔵の臨機応変の対応と源治郎の正面からの名乗りに山賊達は少々、混乱状態になっていた。
その隙に源治郎は山賊の根城に入り、山賊達を切り倒していた。
「チビ小僧」太い声が聞こえた。
その声の先には、2メートルの背丈に筋肉質の体に片手に棍棒を持ち、源治郎の前に立ちはだかる。
源治郎は目先の人物のただならぬ雰囲気を感じ「お主が、山賊の棟梁だな。」
強者を感じさせる雰囲気を醸し出しながら「これから死ぬやつに答える義理はない。」
「ふん。いざ、尋常に勝負。」
源治郎は馬を降り、脇差しに指していた刀を構えた。
「そんな小さな鉛の棒切で俺には立ち向かうのか。笑わせる。」山賊の棟梁は、失笑しながら、源治郎目掛けて棍棒を振り回す。
源治郎は大柄の男が振り回す棍棒をいとも簡単に避ける。
その隙を突き、源治郎は胸元に入り込み、胸に斬り込む。
だが、山賊の棟梁の鉄の鎧と思わせる筋肉の鎧の前には刃が通らなかった。
その反動か、刀は折れてしまう。
「だから言ったろ。そんな棒切で俺を倒せねと。」山賊の棟梁は、高らかに笑っていた。
源治郎は刀が折れたことと肉体のあまりの硬さに驚きを隠せず、後退りをしてしまった。
この動作が源治郎をピンチを向かわせる。
山賊の棟梁は源治郎が後退りをしたことを見逃さなかった。
源治郎に詰め寄り、山賊の棟梁は棍棒の先で源治郎のお腹を突いた。
「ガハア」源治郎はあまりの衝撃に悶絶した。
山賊の棟梁は倒れた源治郎の前に立ち、棍棒を振りかざす。
だが、山賊の棟梁は何かを避けるように後ろに飛んだ。
「源治郎様。大丈夫でございますか。」主以外には、姿を見せない決まりの忍の半蔵が助けに入った。
山賊の棟梁は驚きの表情と貶す「忍が、主以外に姿を見せて良いのか。」
「うるさい。私は主にこの命救ってもらった身。忍の掟など主の命に比べれ、屁でもないわ。」
半蔵は怒りに満ちていた。
源治郎は、薄れゆく意識のなか半蔵の後ろ姿を見て暗闇が襲った
城戸の守護〜源治郎の誓い〜 上坂 心 @kanashin
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。城戸の守護〜源治郎の誓い〜の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます