第14話 契約社員生活

前職を退職した後、私は契約社員として大学の図書館に就職した。


契約社員だし、前に持病のことを言っていいことがなかったので今回は持病があることは言わずに就職した。

(健康診断の結果の提出が必要だが、私は普通の血液検査の項目では普通の人と変わらない結果がでるのでセーフだった。)


持病を隠して就職する人は多いとは聞いていたけど、そりゃ隠せるところは隠すわ、と思う。

しかも私は黙っていれば見た目は健常者。


健康な人は月に一回定期検査をしながら生きている人はわからない。

逆に言うと、私は健康な人の暮らし方はわからない。

わかり合おうとするからお互い嫌な気持ちになるのだ。

「仕事」という繋がりだけの人たちなんだから、自分のことを知ってもらう必要はない。


私にとって契約社員という働き方はすごく楽だった。

「どうせ雇用期間が満期になったら辞めなきゃいけないし」というスタンスで働けたし、何より病気のことを伝えてないから周りに溶け込めた。


図書館という職場も自分の身体に合っていた。

冷暖房完備だし、立ち仕事じゃないし、日に当たることはない。

しかも本が好きだから本に囲まれてる職場は最高だった。


病気を伝えた職場より、伝えてない職場の方が自分の身体に合ってるなんて人生って不思議だ。

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難病患者だって人生楽しみたい! 藤子 @20230905

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