第3話 

 創太は友達だよ

楓にそう言われて何日か経った。

僕は楓との関係が終わらないのは良かったがやはり友達という関係では物足りない。

そんな中、休みの日ベットでくつろいでいると、楓から一本のラインが届いた。

(今度の日曜、買い物に付き合ってくれない)

(うん、いいぞ)

楓は俺に対してこんなにも接してくれる、

だから今の関係を守らないとそう思い決心を固めた


 楓は悩んでいた。

どうしたら創太にアピールができるのだろうか、友達に聞いたり調べてみても普段から日常的にアピールさながらのことをやっていたいので今更それをやっても意味がないと言われたりしてるのだ。

(創太とあんまりやってないことか〜何かあるかな?)

またスマホを見ていると楓が好きなお店の新作のスイーツの情報が出てきたのだ。

「創太と一緒にスイーツ食べること」

不意に口から出てきたアイデアにピンときてすぐに創太にラインで送った。

「デートのお誘いみたいにならないように、友達っぽく送らないと」

(今度の日曜、買い物に付き合ってくれない)

返事はすぐにきた。

(うん、いいぞ)

返信が来て楓はすぐに創太とのデートに向けて張り切っていた。

(これで創太にも意識してもらうんだから)


またもや二人の思いはすれ違ってしまった。


 そうして日にちは流れ約束の日曜日になった。

「確か、集合場所はここでいいはず、、ちょっと早く来すぎなた」

時計の針は約束の時間より三十分も前を指していた。

これから一人で待つのかと思いながらもあたりを見回すとそこにはいつもとはちょっと雰囲気が違う楓がいた。

「えっ!なんで!」

楓は僕を見ると驚いた声を出して駆け寄ってきた。

「創太、ずいぶん早いね」

「楓も早いんじゃないのか」

お互いとても早く来すぎてちょっと気まずくなっていた

(やばっ!早めに来て私が創太をリードしようと思ってたのに〜)

(ちょっと楽しみすぎなんて思われたかな)

「じゃあ行こっか早いけど」

「そうだね、どこに行くの?」

「今から行くのはここ」

そう言って見せられたのは最近、人気のカフェだった。

「カフェか、いいんじゃない」

「でしょ!ずっと前から行きたかったんだよね」

店まで歩いて行くとお昼少し前だったのに通行人は多く少し目を逸らせば逸れてしまいそうだった。

そんなことを思ってると楓が手を握ってきた。

「こうしていないと逸れちゃうかもでしょ」

「ああ、そうだね、握っていてくれるか」

(これも俺なんかのただの友達にしてるんだな)

(やばいっ手を握ろうと思ったけどいい理由が思いついて良かった)

二人はちょっと顔を赤らめながら店まで歩いて向かった。

こんなことを思ってるうちにお店に着いた。

「場所的にはこの辺りなんだけど、、あっあった!」

「ここか〜前から思ってたけど楽しみだな〜」

中に入ると、日曜で人も多かったが目に飛び込んできたのはカップルの多さだった。

「いらっしゃいませ、二名様ですか、ご案内しますので少々お待ちください」

「意外とカップルが多いんだな」

楓は普通に

「だってここ有名なデートスポットだもん」

「えっ、そうなの」

「あと、カップルって答えると少しだけ安くなるんだよ」

「へっへ〜〜」

(俺を呼んだのは一人では入りにくいからと少し会計が安く済むからか、デートって感じてたのは俺だけかもな)

「お待たせしました、ではお席にご案内させていただきます」

そう言われて席につき楓とメニューを開いた。

「どれも美味しそうだね〜」

「どれか食べたいものが決まってるのか?」

メニューを見てみると楓がある一つの料理を指さした。

「ねえ、これにしない?」

そこに書かれていたのは(チェキ付き、思い出作りにどうぞ、ハート型甘々パンケーキ❤︎)と記載されていた。

「これを頼むのか?」

俺は思わず二度見どころか目を見開いて楓の方まで見てしまった。

「うっうん、ここでしか食べれないからどうかな〜と思って」

「僕はいいけど、楓はいいのか、カップルって思われるぞ」

「いいじゃない、店の中ではカップルってことになってるし」

そう言われ半ば押し切られこれを注文することになった

数分経ち、あのパンケーキが届いた。

「お待たせしました!こちら、ハート型甘々パンケーキになります。ではチェキを撮りますのでポーズをとってくださ〜い」

僕らは料理を真ん中に持ちチェキを撮った。

「ではごゆっくり〜」

その後、数秒沈黙が続いた

「食べようか、頼んだんだし」

「そうだな」

(楓は俺のこと好きなのか、いやでもあの時友達って宣言されてるしどうなんだよ!)

頭の中で楓に対しての言いたいことが溢れていた。

一方、楓も似たようなことを考えていた。

(せっかく、恋人が頼むスイーツ注文したんだから少しは気づいてくれてもいいじゃない!)

と頭の中で考えつつも二人はスイーツを美味しそうに頬張っていた。

とまあ、二人は料理の感想くらいしか話せず、店を後にした。

店を出てから楓はじゃあ次の場所に行こうと言い歩き始めた。

そして着いたのはちょっと人気のない公園だった

楓にここが目的地なのかと聞こうとする前に楓から話し始めた

「ねえ、創太、さっきどんな気持ちだったの」

「えっ?さっきの店での?」

「そうよ、私の彼氏にさっき仮でもなったんだから」

楓から彼氏になってどうだったと聞かれた、僕はなんと返しらいいだろうか

頭の中で不安が立ち込めていたが、話したいことは一つに決まっていた。

「僕は、、すごく嬉しかった、でも君が友達のままでいいなら僕が今から言うことを聞き流してくれ」

「僕はずっと君が好きだった、だから僕と付き合ってくれないか」

楓は嘘、と呟きながら僕を抱き寄せた。

「創太、、もちろん付き合うよ〜!」

楓は僕の顔の横で涙ぐんでいた。

「楓、何も涙ぐまなくても、、」

「涙ぐまずに、いられないよ、だって、やっと念願が叶ったんだよ」

「えっ?念願、、ずっと友達が良かったんじゃなかったの」

楓は抱き寄せるのを止めて顔をじっと見てきた。

「そんな訳ないよ、だってずっと恋人になりたかったんだもん」

「でも、あの時、友達だよって」

楓はまた顔を赤らめて

「あれは創太が恋人になりたくなくて、

関係が終わっちゃったらどうしようと思ったからで」

楓は理由を話し終えると僕にも笑いが溢れていた。

「僕たち同じこと考えてたんだね、

僕も楓との関係が終わっちゃうのを気にして踏み込めていなかったんだ」

「そうなの?!」

「まあ、これからよろしく楓!」

「うん、こちらこそ!創太」

こうしてすれ違っていた二人は結ばれたのである

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友達以上になりたいけれど クヨミ @kuyomitadasi

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