第五話: 神と鳥を見た小祠
冒険者の一団を見送った後、僕ら三人と一匹は村外れにある小さな
別段、しゃちほこばった施設ではなく、前世日本の道端で見るような
ここは村のほぼ西端に位置している。
西の方角は、
祠に
周りにはネコやクマといった数体の動物像も配され、ややメルヘンチックな雰囲気が漂う。
ちなみに、岩石の切り出し作業をしている合間、僕が暇つぶしに彫った物だったりする。
『運転席でハンドルを握る女性タクシードライバーのつもりだったのだが、何故か、気が付けば玉座に腰掛けて聖典を開示する女神像として祠の中に収められていた。
「ママには良く出来ているって褒められたけど複雑な気持ち」
「フ……とても見事な出来映えだと私も思いますよ。お隠れになった始まりの創世神から権能を引き継がれ、世界の
「そんな話、初めて聞いたなぁ」
「衣装も斬新です。神々の騒乱を収めるため、自らの
『露出度高めの安っぽいコスプレ風サンタ衣装なんだよなぁ』
「ねえねえ、司祭さま」ファルーラが声を上げ「女神さま、なんで顔ないの?」と首を
「創造神レエンパエマは
『レエンパエマねえ……そんな大層な名前だったんだなぁ、神ちゃん』
「ホントに神様として
この世界へ僕たちを送り出した女神のことは、薄れかけている記憶にもかろうじて残っていた。
祈りを捧げるアドニス司祭の後ろで、僕もファルーラを伴い、軽く手を合わせるのだった。
寸刻ばかりの祈りを終え、ふと視線を壁の外へと向ければ、遠くの空に浮かぶ孤影を
「あ、ルフだー」
「なんだか久しぶりに見たね……って!?」
西の空、遥か
「またかぁ。そんな
「ばいばーい! ルーフーっ! たまには飛んできてもいいよー!」
「ほぉ、あれが……
未だその姿が小さく見える距離で横向きに飛ぶジャンボは、
「もうすっかり元気になって飛び回ってます」
「真上を飛ぶ姿が見られないことは残念です。王都の方まで飛来することはありませんからね」
「ああ、この辺りには近付いてこないんですよ。村の上は飛ばないっていう
二年前、
と言っても、お互い既に敵対の意志などあろうはずもなし、こちらとしては
『元々、季節を感じさせる風物詩だったことを思えば、
瞬く間に飛び去っていったジャンボへ
「きゃっ! 白ぼっちゃん、ぼつぼつ火ノ刻になっちゃうよ」
「うん、ちょっとばかし、ゆっくりしすぎたかな」
およそ午前八時頃からは日中【火ノ刻】に入る。
乾期のこの時間、気温は体感できるほど急速に上昇し始め、風もいきなり強まり出す。
異世界とは言え、気候的には前世地球のアフリカ辺りとさほど大きな違いはないと思われる。
しかし、昼夜の寒暖差が激しく、夜間に
乾燥しきった
こうなると、のんびり散歩を楽しむどころではなく、ぼちぼち切り上げ時と言えるだろう。
「フッ、このような環境で、
「だって
先ほど見た鳥のジャンボを除き、
「……あたま、さわって?」
いくら地球におけるサバンナ気候と酷似していようと、やはりここは異世界であるらしい。
乾期になると草花が枯れ、樹木が葉を落とし、動物たちが水場を求めて一斉に去っていく……という点だけは同じであっても、その移り変わりは非常に急激かつ極端に行われるのだ。
『ぱったり生き物の姿がなくなるし、植物なんて水辺でも育たなくなってしまうから不思議だ』
「なんだか
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女神のことをお忘れの方は、こちら↓のラストに無駄設定がありますので、よろしければ。
第一部 閑話「◆設定集: キャラクター紹介(モブ)」
https://kakuyomu.jp/works/16817330663201292736/episodes/16817330668257689500
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