シーン21 帰路
夕暮れが、空を覆っていた。
説教から解放され、自転車押して帰路につく途中、公人は脳内で今日の出来事を整理しようと試みた。
完璧美少女の勧誘から始まり、巨大怪獣の出現、付喪神・超能力者・魔法少女の出撃、無意味な覚悟、そしてスムーズな退治。
どれか一つでもお腹いっぱいであるというのに、その全部がここ半日以内に収まっている。
なんて密度だ。昨日までの、のんべんだらりと過ごしていた日常と、本当に同じ時間が流れているのか?
テンポよく現れた非日常。これらの背後に、一本のストーリーラインがあるとしたら。
「いや、そんなことはありえない」
公人は立ち止まって、誰にともなく呟いた。
だってそれじゃあ、今まで過ごしたこの世界が、自分の人生が、『物語』、つまり、全部、誰かが考えた作り物ってことになる。そんなことは、認められない。
だから、今日起きたことは、信じがたいがすべて現実の出来事なのだと、公人は自分に言い聞かせた。
「……早く、帰ろう。帰って、寝よう」
公人の足が、再び前に動こうとした時であった。
「手塚、公人だな」
電柱の影から、いやに目つきの悪い男が、公人の眼の前に現れた。
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