ヴィマラキールティ

てると

覚醒

 ヴィマラキールティは両親を憎んでいた。そのためにヴィマラキールティの母は病死した。彼はついに死ぬまで見舞いに行かなかったために、気息を感じられない苦しみに喘いだ。不安定な世界が彼の絶えざる悩みだった。結果、彼は認識と死を欲するに至った。月日が巡り、彼は都市の民となっていた。友と師を得た彼は、認識と死ではなく、制作と生を愛するようになった。ある朝、ヴィマラキールティは寂光の室で覚醒し、自らの天命を知った。しかるに彼は部屋を出て大きな駅の前に立った。

 そうして彼の獅子吼が始動した。

「物を見ても見ず、事柄を聞いても聞かないあなたがたに、せめて私の魂を享受していただきたい!私はいない、私とは宇宙のモードである。冗談ではない。分離以前に、知に致るということがどういうことなのかあなたがたは口では言うが全く分かっていない。だから分断を生じるのだ。理法は秩序ではない。むしろ天地の混沌なのだ!あなたがたは東西の道を歩く時、言語論理で歩行しているとでも言うのか?現象のことを話しているのだ!これは皆さん、西方からの人たち、ごきげんよう!あなたがたは東方に何を求めて来たのか?金と引き換えの歓楽か?或いは、疲れ、界隈に癒しを求めているのか。そうだ、私は永遠に清い河川である。あなたがたのために流された血とは何のことか?そうだ、誰しもそこから産まれたのである!誕生の神秘はいつも流血沙汰である!喘ぎ!共に苦しむことと共に喜ぶことの同時性である。名において喜ばれたのか!?否!無名において!!産みの苦しみとは瞬間性の発作ではない。生きる限りの呼吸苦に応える際限なき陣痛である。我々が誰しも分離と分断と分裂を恐怖するのは、誰もが愛をよく知っているからである。聞け、存在の福音を。血は生命であり、愛は精神である。だから見返りなき愛とは天地の裂傷であり、一つの狂気である。マーヤーのデカップリングが起こる、ワルプルギスの夜が来る。端的なわからなさを生きることをわかるということが成立するのであり、四苦八苦は括弧に入れて、すなわちどうやって死ぬのか、どうやって死ぬのか、いつどのような別れが訪れるのかなどということは想像しないことである。明日を誰が確実に言い当てられよう。自己と海を信じて飛び込め!責任などない!デカップリングが起こる、ワルプルギスの夜が来る。」

 ここまで述べてヴィマラキールティは恐れおののいた。言い終えてはじめて自分の言っていることがわかったのである。

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ヴィマラキールティ てると @aichi_the_east

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