第10話 新たな発見

おれたちは盗賊に立ち合い、あることを突き付けられる。


---


それはこの盗賊はエニーテに指をさしたことだ。


エニーテは盗賊に目をつけられていることに体を抱えて酷く怯えていた。


これは一体どういうことか、エニーテが狙われる理由はいくつか思いつくが、もう彼女の情報が出回っているというわけか、それともこいつらは別の理由でこいつにようがあるのか?

王国の奴らは親の方を罪に問われていたのではないのか?なぜ今さらこいつを狙う必要がある。


もしも王国の奴らだったら辻褄が合わない。なぜ今になってエニーテがこのような場所にいるのがばれたんだ?普通なら逃走していることに目を向けるはずだ。


それか、もしくはこいつの親を向かうことを予想してやっていることなのか?


いや、こいつらはこいつが王族ってことが薄々気が付いているのか。


「まさか…」


「そのまさかだよ、そこの兄ちゃんよ。王族の女が身を隠しているという噂を聞きつけたら、まさか本当にこんな場所にいるとは。しかも盗賊と一緒にな!」


これはかなり面倒ごとになりそうだ。


俺は気を付けていたはずなのだが、どうやってばれたんだ?

まさか俺が酒場の時に誰か俺を付けていたというのか?

それはないはずだ、俺を微塵とも思わなかったはずだ。


それともファーガスの野郎か?いや、あいつは俺が付き人がいるのを知らねぇはずだ。だったらなぜばれた?


まさか、エニーテが一人で待っていた時か?

それならこいつが嗅ぎ付けてくるのも分かる。されども、これはあまりにも出来過ぎている。もしそうならエニーテが付けていた指輪の効果を見据えたことになるぞ。


「お前らは正気か?そこまで外道なマネをして済むとでも思っているのか!」


ブレーゼンはこいつの下劣非道っぷりに怒りを示している。

それはそうだろう。口にははっきりしていないが、こいつらは人身売買をするつもりだ。盗賊はいつからこんな乱暴な真似をするようになったんだ。


盗賊は薄汚い笑いをした。


「怒ってやんの。そこらじゅうの変態様たちがこのガキが欲しいというもんだから、俺たちは快く引き受けただけた」


貴族もまたクズがまだ多いようだ。ブレーゼンはこいつらの企みを聞いて段々と怒りを見せている。


「しかもぺルト金貨600枚だぜ?こんな金額なら豪遊するしかないっしょ!どうだ、そこの兄ちゃんよ。どうせお前もこんなガキよりも金の方が欲しいんだろう!」


エニーテは恐怖を露わにした目で俺を見ていた。


確かに金貨が多いのはいいことだが、俺はそこまで落ちぶれてはいない。どんなことがあっても俺は約束をしたことには必ず実現してやる。

それに、俺がそいつ側に付いたら恐らくブレーゼンと敵対することになる。それをしてまで俺はそんな金額は欲しくはない。


恐れられる盗賊になるのであれば、そんなことを断ってでも、上に立たないといけねぇ。


「魅力的な話だ。だがあいにく鼻っからお断りだ」


俺はブレーゼンに合図を出してこっちから攻撃を仕掛けた。これは判断が早い奴が優位になるってもんだ。

俺は煙玉を下に投げて、エニーテにしゃがんでもらった。ブレーゼンはあの盗賊たちをビックバンで振り回した。ブレーゼンは怒りを発散するように強く当たった。盗賊たちはまだ倒れてはいない。

その直後にエニーテを守るように体制を立てた。


俺は早速ゲールの実力を試す機会に期待をしながらも焦りもある。俺はここで正真正銘の力を見せつけてやる。そして俺は視界を開き、盗賊の動きを予想した。俺はまず、叩きやすいやつから走りに行った。俺は一人目の奴の足を指すように狙い、気絶した。これは案外上手くいった。


またゲールの切り具合の良さにも驚いた。俺はこの武器でかなり素早く振れる上に、相手に攻撃を狙うことが効率的にできる。まさかこの武器、人に合わせた形にしているというのか。


そして盗賊たちは立て直して、後方にいた盗賊は魔法を唱えていた。

こいつらは単純な魔法しか打つことができないが、それでも魔法は魔法だ。

当たったら痛い。


「食らえ!」


奴はファイヤボールを放ち、俺とブレーゼンは分裂して避けた。ブレーゼンはエニーテを抱えていたから彼女も大丈夫だ。


「おい、何やってんだよ!」


その捻くれ盗賊はあいつの部下らしき奴に注意をした。

そいつは気を取り直して俺たちに話しかける。


「なあ、このジャギ様にを先に攻撃するのは失礼じゃないか。別に殺すとはいってないだろう?」


ジャギと名乗る奴はああは言うが、どうせあっちから仕掛けるつもりだった。


「どうせ同じことだろ。お前のような奴は信用できない」


「信用だと?盗賊のくせになに言ってんだ?」


「盗賊でも信用するかどうかは必要なことだ、別に友情のためのものではないよ」


エニーテは状況に少し緩みながらもうつむいていた。


「なら、そいつをなぜかばう?利益が欲しいならそいつはいらねぇだろ!」


「信用には約束を果たせるかどうかも俺の場合含んでいるからな」


「なんだそれ、くっせぇな。まさかこいつを助けたら美味しい話が待っているとかしんじてんのか?」


「そんなことより、自分自身の心配をした方がいいんじゃないのか?」


「はあ?」


俺はゲールのレバーを開き、腕を振って風を思いきりジャキどもに吹かした。

ブレーゼンはあいつらの気が緩んでいる間にまた叩きに行った。ナイス判断だ。流石は馬鹿力屈指の男だ。だが、このジャキって男はブレーゼンの棒の一撃を受け止めた。どうやらこいつも洞窟から特殊な武器を手に入れているようだ。


「お前らは勘違いしているようだが、お前らが持っているものだけが特別じゃねぇそれはこっちも同じさ!」


そいつは網のようなものを持っていた。どうやらブレーゼンの力を防げるようだ。


その後、ジャキは態勢を変えて攻撃を仕掛け、ブレーゼンはあいつの網の攻撃を防ぐ側に回っていた。そいつの武器は網のくせして、伸びるように飛ばしていた。その威力はブレーゼンを少しだけ下がらせるようなものだった。


「お前の網、なかなかに気持ち悪いぞ」


「そりぁどうも」


俺は他の盗賊どもと戦っているが、エニーテが少しだけ遠くに離れていたから俺はその様子をみつつ戦っていた。だが、この状況は不便だ。やはりこの武器でなんとか出来ないか考えていた。とりあえず俺はまた風を吹かせてよろけさせながら、俺は後ろに下がった。この能力はそこまでダメージを与えてない上に、あいつらがビビるようなもんは持っていない。それだけが難点だ。このままだと、俺は追い詰められ、エニーテが奪われることになる。


こいつらが余裕なのも腹立たしい。


どうする?

何かここから逆転する方法はないか?

もしかしたらこれを投げることはできるんだろうか?だが、投げて、俺の手から離れたら無駄になる。


だとしたら、この力逆に利用できるだろうか?

たしかあの説明の中に飛ぶことができるって書いてあった。その方法が上手く行くかはしらないが、何かやってみるか。


俺は助走をつけて飛んだ瞬間に俺はゲールをぶん回す作戦に出た。

俺の行動が盗賊たちを困らせたように見えた。


「こいつ何をやっているんだ?突っ込んできてるぞ!」


そして俺は走っていたら、タイミングよくゲールを思い切って振った。


「やってやるぜ」


だが、そこで問題が起きてしまった。俺はバランスをとれず、ゲールの勢いに押されて逆に盗賊たちに飛び込むことになってしまった。


「これはやべぇ!」


さすがにこの行動を予想できなかった盗賊どもは考える間もなく俺があいつらに全速力で俺の肩があの盗賊どもの体にねじ込んでしまった。俺は運が良いと言っていいのかどうかは知らないが、俺はゲールのおかげで盗賊たちを予想外にも一人ずつ吹き飛ばしてしまった。


俺は飛びたかったのに、何だこの操作は?俺がしょうもなく見えるではないか!


「うお!」


「こいつ何なんだ!うああ!」


その気まぐれの直後、俺は地面に転がって、見事に腹のうえからスライディングをしてしまった。


「痛てぇ!」


俺は頑丈な体に感謝しつつもさすがに予想外のことで自分も痛い目に合ってしまった。まさかこんな形で怪我うするとは…

そしてエニーテは俺の姿を見てポカンとしていた。とにかく大丈夫らしい。


俺が立ち直った時にはブレーゼンとジャキはまだ戦っていた。


「どうだ、でかぶつ、俺の攻撃きついだろう」


ジャキはあの網のような攻撃でブレーゼンの棒に絡みついていた。だが、ブレーゼンは逆にこの攻撃を利用して、棒を捨て、ジャキに素手になって、突進していた。


「何?」


「うお!」


ジャキはバランスを崩し、ブレーゼンは自分の棒をもって、仕留める一発の隙を狙っていた。


「成敗してやる!おりぁ!」


「こんなの、ねぇぜ…」


ブレーゼン今までの力を振り絞って体全身を使いながら渾身の一撃をジャキに思い切って構えた。奴が棒を振った時にはあの青い石のようなものがチャージされていて、棒のフルパワーをあいつの頭に直撃した。その瞬間、地面に割れ目が大きく広がっていた。



ジャキは呆気なく気絶しているようだ。

どうやらあいつの網に引っかかって分、棒の効果は軽減されたようだ。普通だったらもっと酷いありさまになっていたが、倒したことには変わりはねぇ。喧嘩を売る相手が悪かったな。


「エニーテ殿、大丈夫か!」


ブレーゼンの野郎が、駆け付けて彼女の様子をしっかりと見ていた。ブレーゼンはエニーテの肩をがっちり掴んで心配していた。エニーテは突然の出来事にびっくりはしているが、なんだか様子が変だ。


---


「こいつらは一体なんでこういうことをするんだ。盗賊といえども程度ってものがあるだろ」


「さあな、だが確かに胸くそ悪い気がする。こんな時こそウェンデルの旦那に言わないとな。エニーテの身も危ないようだ」


「エニーテ殿、こんな気持ちにさせてすまない」


ブレーゼンは何故かエニーテに誤った。

これは危ない目に合わせたことだろうが、俺にとっては謝る理由がないと思っていた。


「何故お前が謝る?」


「だってよ、あんな怖い人たちに囲まれるなんて普通じゃあ起きない」


「それはあいつらが悪い、俺たちはただやることをやっただけた」


エニーテは俺たちの注意を惹き、喋り始めた。


「あの…プレーゼン様、ドーレン、ありがとう…本当に」


エニーテは盗賊に狙われる恐怖との対面を本気で怖がっているようだ。目元に潤いが感じ取れる。それはそうだ、自分が何も悪いことやってもいないにもかかわらず、盗賊に狙われるとは彼女は思わないだろう。今回は相手は大したことはなかったが、今度もっと恐ろしい奴が出てくるとなると面倒だ…


「俺たちは売られた喧嘩に勝っただけだ。気にするな」


エニーテは軽く頷きながら微かな涙を拭いた。ある程度我慢していたのだろう。


「って、そんなこと言っている場合じゃねぇ!行くぞ」


今度こそ俺たちは町に進んでウェンデルたちと合流をしようと思った。俺は時間がないことにまた気づいてしまった。


---


こうして俺たちは町に戻っていた。


「ドアよ、俺はまた出ることにするよ。冒険者の情報を見つけたいからな」


「そうか、ここにまだ残るのか?」


「少しだけならな。それよりもエニーテを大事にしろよ!」


「うるせぇよ」


ブレーゼンはまだ冒険者について調べたいらしいからここで別れることにした。

しかし、今日はとんでもねぇ日だったぜ。大きな魔物と戦って、盗賊どもに囲まれて、エニーテがさらわれるそうになったりな。


宿屋に戻れば、そこにウェンデルの旦那とシャーラがそこにいた。

二人とも悩んだ顔で話していたように見えた。

そして、旦那もファーガスとの用も終わっているようだった。


「戻ってきたか、三人とも目当てのもの見つかったか?」


「見つかりました、最初は見つかるとも思いませんでしたが」


「まあ、あそこは分かりづらいからな。でどうして浮かない顔をしているんだ?」


「また面倒なことが起きました」


そして俺は旦那に今日合った盗賊のことを話した。


「なるほど、これは予想内ではあるが、盗賊がここで乱暴なことをしようとは…」


ウェンデルは事の重大さは分かっているものの、どうやら時間の問題だったらしい。


それでも俺はあの盗賊が言ったことに違和感しかない。なぜ今になってわざわざ盗賊ですら的に狙うのだろうか。


昔の盗賊のルールは縄張りで決めていて、もしも盗賊同士で問題があれば、審問にかけられていた。審問を逃れるばあいはあるのかっておもうかもしれないが、審問があるのには理由がある。


その審判たちは元々魔法の使い手で、変な宝石のようなものがあった。俺はなぜそいつらがが盗賊みたいな非組織的なものに手を出したかわからないが、結果的に必要なものだったらしい。実際はどうかは、どうでもいいし。おそらく関わりのない人たちだろう。


それはともかく、あいつらがそれを恐れなかったということは別の誰かがその上に立っているか、何等かの理由で組織が回っていないかのどっちかだろう。



「で、闘技場の件はどうなったんです?」


「あ、それがだな、どうも難しいようだ。悪い」


「マジですか…」


「もう後3日というのにね。俺が甘かったようだ…」


「え、3日?」


「そうだけど、洞窟で一日そこにいたよ」


「え…」


まさかあの道で一日中いたというのか。だからエニーテはあの時結構眠かったのか。

それに言われてみれば、結構日も出ていたんだった。

やはりあの洞窟、思っていたよりも迷路だった。


「ああ、今は夜だから。あと2日か」


「そうだった…」


それは思っていたよりも急だった。

今日は色々あった上に、あと二日であのイカれパラディンと一緒に組まないといけない。


「まあ、今日の件は置いといてなんとかなるでしょう」


「なんでそんなに余裕ぶっこいてんですか?」


「明日になったら色々と教えよう」


ウェンデルの旦那は今まで以上に自信の表れを見せた。

まあ、今日も、旦那の読みは当たったし、信じるとしよう。


「ウェンデル様、話が…」


エニーテが珍しく旦那に声をかけた。一体なんの用だろう。

俺の陰口じゃなければなんでもいいが。


「何だ?」


「出来れば二人で…」


エニーテ気まずそうに俺の方を見た。やはり俺の陰口なのか?

まあ、それでもいいや。


「なるほど。分かった」


「じゃあ、また朝になったら会おう、ドーレン」


「おう」


そして俺は宿屋でぐっすり寝ることにした。


俺は今日のようなことを忘れることはないだろう。そして俺はこのゲールでどのような旅をするのか期待もしているが、恐れていることがある。それはなぜかは知らない。でも、俺は


今度は本当に静かにことを済ませて寝ることができた。


---


と思っていたら。

やはり、そうはいかないらしい。俺は夜中に変な音が耳に入って目が覚めてしまっていた。こういう時にこそぐっすり寝たいもんなのだが、そうはさせてはくれないらしい。これは隣のいびきとか、寝相の悪さではない。それに一つの部屋はエニーテがいるしな。


夜に声がしないのに、俺は聞いていた。


「おい」


その声が少し、すんなりと入ってくる声というか、みずみずしいというか、人間が話すような声ではないのか明らかだ。性別も男か女かわからない。こいつにそんな概念はあるのかすらも定かではない。


一体なんなんだよ、俺は2日以内に闘技場のことについて考えないといけないのによ。勘弁してくれよ。


「き、み、だ、よ!」


俺はしばらく無視して、寝ようとしたが、またこの声が俺にちょっかいかけてくる。

そして俺は仰向けにベットを上を見たら変な霧のようにも見える灯が目に映った。


俺は思わずベットからでてしまって、ゲールを取り出した。


「やっぱり、それか」


俺がゲールを取り出したらなぜかまたこの霧から出てきた声がそういった。


間違いない、またあいつらの声が聞こえてしまってる。

そう、幽霊だ。こいつらおとぎ話のようなもんじゃない。俺は知っているんだ、こうつらが存在することを。


俺はむかし、こいつら俺に話しかけているのを覚えている。

俺は周りの人に言ってんだが、信じてもらえなかった。こいつら幻想とか、夢の中のようなものじゃねぇ。


俺は念のために俺の顔を引っぱたいた。


「無視するな」


そりぁするだろう、なんでお前のようなものにしゃべらないといけないんだよ。


「勘違いしているようだけど、幽霊じゃないよ」


いや、明らかに幽霊だろ。姿がちゃんとしていないし。


「めんどくさいな、心の声が漏れているよ」


はあ、こいつ俺の考えていること読んだのか?


「そうだよ」


近いわ!

俺は思わずこの変なものに遠ざかった。


「って今俺のことまた読んだな」


俺は何話しかけているんだ?絶対に良いもんじゃないだろう。


「良いもんだからここにいる。別に声に出さないでいいから」


俺の言ったことをそのまま返したようだ。面倒だな。

本当にこの幽霊は俺にしゃべりかけている馬鹿馬鹿しい。

俺はゲールと下した。


「幽霊じゃないよ」


あっそう。俺の心の声が聞こえるのなら俺が寝たいのはわかるだろ。じゃあ寝させろ。じゃあ、どっかいってな。


「待ってよ、話があるんだ」


いったい何の話だ。

闘技場のことか?

それとも面倒な依頼とかか。

前世でやり残したこととか。

なあに言ってみろ。


「はあ、君は手がかかるようだ」


そうだよ、そうじゃなかったら盗賊になっていないさ。


「皮肉にもほどがあるよ君は」


勝手に言ってろ。俺はこの二日で疲れたんだ、俺に有益な情報とかないならもう消えろ。俺はお遊びする気力がない。


「僕たちはずっと前から君と交信することができてたけど、君が僕たちを拒絶するあまりに、声が聞こえなくなってしまったんだ」


だからちゃんと要件を言いやがれ!

それにそりぁそうだろ。こんな気持ち悪い声なんか聴いたら誰だって拒絶してしまうわ。


「もう、せっかちだね。そんなんじゃモテないよ」


なんだそれ、お宝はなら持っているぜ。


「これは壊滅的だ…けど仕方ない。こっちにも非はあるし」


それはどういう意味だ。


「そんなことより、本題言うよ。明日、右に進めばあの子の親の手掛かりが見つかる」


右に行けば?曖昧すぎだろ。どんな時に右に行けばみつかんだよ。


「行けは分かるよ。じゃあまた近いうちに会おうじゃあね」


おい!


その霧のようなものは突然と消えた。勝手に変なことを言った上に消えるとはやっぱり大したもんではないのかもな。幽霊の見た目をしているくせに偉そうなやつだったな。


いや、それにしては、知っていることもあったようにも感じた。あの霧野郎、まさか俺のストーカーか?あとはゲールについても反応してたな。まさかこれに関係しているのだろうか。


エニーテの親の手掛かりが見つかるとも言った。彼女の名前は言わなかったものの、俺が彼女の親を探しているのは少ない。もしかすれば、あの変なものは本当のことを言っているかもしれない。


いたずらなら無視をするまでだ。


---


奇々怪々な体験をした後に、次の日がやってきた。


正式にあと二日しかない、俺はファーガスが何らかの事故に合うことを願いながら俺は起きた。


俺は意外にも目覚めは悪くはなかった。まあ、むしろそうでないと困るのは俺の方だ。状況がこんな急なものとはいえしっかりと起きることができたし、

良い一日になりそうだ。


俺は起きた後、宿屋にある食堂でウェンデルの旦那とエニーテと一緒に座っていた。

この宿屋の料理はスモールワールドといたころよりも何ていうか滑らかな感触がある。流石は王国とシャーラ姉さんの料理のセンスといったところだろう。

俺はスモールワールドにいたときにはやはり偏っているものしか食べられなかったもんだからここに来て新しいものをたべるというのも旅らしくて新鮮だ。

もちろんそんな感覚でここにいると足元すくわれると思うが。


そして俺は興味本位で昨日の夜に変なことが起きたかを聞いた。


「来たか、ドーレン」


「旦那、昨日何か変なもん聞こえなかったか?」


「変なもの?何も聞いてないけど」


「そうか。なら何でもない」


俺がここ幽霊を見たと言ったら俺の精神状態が問われるだろうな。


昔、ウェンデルの旦那にもあののことについて話していたが、どうも、反応が薄く、信じてはもらえなかった。俺に気を遣って俺を変人扱いをしなかったのだろう。


まあ、信じてもらわなくてもいい。


俺は奴らの存在を信じている。


「ところで、今日は話があったんですよね」


「そうだ、その武器について話すところだったんだ」


「この武器の使い方知っているんですか?」


「厳密にはかつ程度だけどね」


やはりウェンデルの旦那でもこの武器のことはそこまでしらないようだ。

まあ、これから知れば、何か凄いことでも分かるんだろ。


「ドーレンはこの武器についてどこまで知っているんだ?」


「まあ、俺が知っているのは飛べる?っというのと風を吹くというぐらいですね」


「そうか、この武器はそれ以外にも秘めている力があると書かれている」


「あ、それ。洞窟でこの武器の説明の時にエニーテが言ってました。秘められた可能性って」


「だったら情報の食い違いもないと」


「これって一体何なんです?」


「まあ、これまでに言われていることはこの武器が唯一飛ぶ力があるのと、武器以外の機能があるということだな」


「それは魔法とか?」


「かもしれない。でも現段階でははっきりとは分かっていない。きっとドーレンがそれを探すことになるとは思うぞ」


「とうですかね、俺は魔法なんて使えないしな」


ゲールこれは確かに凄そうな武器だ。でも俺はこいつの力を引き出せるのだろうか?

その前に、闘技場で俺はこの武器を使えるのだろうか。


使えないと困るのだが、まだまだ伸びしろがあるってことは、結構すごいなこれ。

売るとか言ってごめん。


「まあ、それは判断するには早いと思うよ。色々試して使えた人だっている」


それはどうだろうか。盗賊の中でも魔法を使える奴は稀だ。使えたとしてもその威力は一流の魔法使いには叶わないとも聞く。俺もそれに入るかもしれない。


ウェンデルの旦那は俺が考え込んでいることに気づいて、説明を続けた。


「そういえば、ブレーゼンいるだろ?あいつも腕力だけではなく、実は魔法を使っているよ」


ブレーゼンが魔法を?あんな奴に魔法を使えるとは思えなかったけどな。普通にパワー型のスタイルだろ。


「そうなのか?あの武器の能力ではないのか?」


「ブレーゼンの力はあの武器と、自分の体からエネルギーを貰っている。自分の体を使う時に出る力もあいつが無意識魔法を使っている。あとあの棒の光る石からも力を貰っている」


あの光っている石がブレーゼンのちからを引き出している。ということは理論上この武器も俺の力を使っているということになるのか。


「どういうことだ旦那?

じゃあ俺たちは気づかすに魔法使っているといいたいのか?」


「簡潔に言えばそうだね。魔法といっても種類かいくつかある」


そしてウェンデルの旦那は俺に説明をした。


どうやら魔法には3つのタイプがあるらしい。


一つ目は放つ魔法だ。

この魔法は全体的な環境によって力を持って来ている奴だ。一般的には唱えるようとして使われる。この特徴は地域によって魔法の強さが変わる。あとは使い手には馴染みやすい魔法というのもある。おそらく血縁的なものとか、使用頻度とかだ。

これはあの金髪野郎とあの魔術師が使っていたものだ。

この魔法は祈りから来ていると言われているが、それはおとぎ話として説明しようとする類だと俺は考える。


二つ目は体に流れる魔法だ。

ウェンデルの旦那が説明した通り、どうやら体の動きについても魔法を使っているらしい。例えば大きくジャンプをする時のようなもんだ。

これにはあまり説明というものはないらしいが、旦那が言うには古い書物からこの力が存在すると言われてる。


三つ目は物体から流れる魔法だ。

これは石とか自然の力から直から来る力だ。俺はこれについては正直分からないが、おそらく、森林や海の近くにいれば、絶大な魔法が使えるということだろう。一つ目の種類の魔法との違いは、これは直接から力を貰う分、力が強力になるということだ。

正直それははっきりとは分からない。だが、分かりやすいのは盗賊が洞窟で探した武器みたいなものだ。


多分、自然の力を突き動かすような魔力も魔法の術は学べないだろう。それは俺には使えない魔法だ。


この中で当てはまるとしたら、物体の魔法にはなるだろうが、果たしてどうやってこのぶきを引き出せるのかがカギになってい来るか。


「一つ目と三つ目の違いなんか曖昧じゃないですか?」


「厳密には違う、使える人物も、環境によって違ってくる。まず、物体の場合は魔力と体がリンクして行われるものだ。それが大きな違いだな。定義は曖昧に聞こえるかもしれないが、今度そういうような使い手に出会うことはあるだろう」


「その三つ目のやつって具体的にどうやって使うんです?」


「武器と使うものによる。もちろん体とリンクしている分、無意識に使えることもあるし、唱えるような形もある。だが、無詠唱と呼ばれる詠唱手段に近い」


「なるほど…。分からん」


「まあ、使い方はそこまで変わらないと思ってくれいいよ今は源が違うだけだ。じゃあこの後見せてやるよ」


---


こうして旦那は俺に魔法の使い方について実践をしてくれた。

町の少し外れた平地に来ていた。

エニーテも遠くで座って見守っていた。


「あっ、そうだ旦那。杖からも魔力に使い方に影響するのか?」


「そうだな、一応そういう使い方をするよな魔法使いはいるんじゃないか?

でも基本的には、杖の場合は増幅させるようなものと思ってくれていい」


そうか、じゃああの時出会った魔術師は結構強かったかもしれないということか。


「ちなみに、旦那は全種類を使えるんですか?」


「いや、人によってはできないタイプがあるのが普通だ。でもおそらくある程度は体を強くする魔力だけはしみついている人の方が多いだろうね。俺は基本手には1つ目と3つ目のを使い分けてはいるよ」


「なるほど。旦那でもできないこともあるんだな」


「全種類を使えるからって特別に強いわけではないからね」


なるほど、ということは魔法のタイプが偏っている方が強さにもなるって話か。確かに、ブレーゼンでもあのエスバーンも魔法は単純ではあったが、強いのは確かだしな。


「じゃあ、早速見せてあげるよ」


ウェンデルの旦那は集中して、杖を構えていた。


「汝、雫に生まれ変わる大地よ、流れる力を身をもってこの世を守り抜け。ストーンウォール」


旦那は岩のような魔法を放ち、大きな壁を作った。攻撃用の魔法ではない。


「まあ、唱えるならこんなもんかな」


「おお、なるほど」


「これが唱えるようの魔法で、これを無詠唱にすると…」


ウェンデルの旦那はまた集中をし、新たな魔法をみせた。今度は杖から炎のようなものが集まり、さっき作った壁の物向けて放った。旦那はその魔法でその大きな壁ごとを破壊した。とんでもねぇ威力だ。


「こういう感じだな」


「今のが、放つ魔法ってやつですか。詠唱をする意味ってあるんですか?」


「特にはないな、っと言いたいところではあるが、詠唱をしないと使えない人はいるかもしれないから一応あるってだけだ。無詠唱になると物を具現化しないといかなし」


「魔法もなかなかに深いな」


「ドーレンもやってみるか?」


そして俺が試す番になった。


「じゃあ俺はどうやってやればいいんです?」


「武器を取り出してみてくれ」


俺は旦那に従って、ゲールを手に持った。


「その武器を前にだして、体に集中してみろ。あの武器とドーレンは手にしている時から魔力がリンクしているはずだ」


そして俺は体に集中した。


「ここからは?」


「なんでもいい、とりあえず思い浮かべやすいのがいい、風の魔法とか」


そして俺は風とはどういうものかを定義して、魔法を放つことに集中した。

これは今までやったことがないから変な感覚だ。俺にとっての風は流れだ。心地よい時もあれば、激しくなる時もある。そして、俺は鳥を思い浮かべた。あいつら風を思うがままに操っている。

そう考えるうちに、下から湧き上がるようなちからを感じた。


この感じか、あとはどうすればいい。

思いつかない…


ウェンデルは俺の振る舞いを見て、感心していた。


「何とかつかめそうな感じだったな」


「いや、気のせいでしょう。多分追い風とかですよ」


「お前は見くびりすぎだ。良かったぞ」


「まあ、盗賊としては凄いかもしれなが、魔法ですよ魔法。さすがに無理ありますよ」


俺は一回目ではできないのは当たり前だな。だが、本当にこの力を引き出せたらすごいかもしれない…



俺はこれから長い修行をすることになりそうだ。

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ノックアンロック~俺は自由になるために世界最古の財宝を手に入れる 風野レノア @kazenorenoa

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