第123話 ローレンと小料理屋(2)※閲覧注意
性的な表現が含まれます。
苦手な人はご遠慮ください。
なるべく直接的な表現を使わずにどこまで叡智に近付けるか挑戦です!
めくるめく官能回!
ローレンのその後が気になる方のみご覧くださいm(_ _)m
─────────────
─ふたり視線が絡み合う
ミルがローレンのグラスに酒を注ぐ。
ローレンは呑む。
ローレンもミルのグラスに注ぐ。
ミルも呑む。
ふたり無言で
無言で呑んだ。
まるで早く酔えと言わんばかりに。
呑んだ。
ふたり、どれくらい呑んだだろうか。
ミルが
ローレンはミルの目の、その奥まで覗き込むように、見た。
「あの…ミルさん」
「はい…ローレンさん」
「今…私は酔ってますか」
「酔って……ます」
「そうですか…」
ローレンは真っ直ぐにミルを見つめている。
ミルは自分がどこまで覗かれているのか、確かめるようにローレンの目の、その奥を探るように見つめる。
「ローレンさん」
「はい…ミルさん」
「私は…どうですか」
「酔ってます…よね?」
「酔ってます」
ミルさんのローレンを見る目が、ゆらゆらと揺れている。
ローレンはミルの揺れる視線を浴びながら、ミルの半ば開いた唇の湿りを確認して、自分の唇を酒で濡らす。
「酔ってるから…」
「はい…」
「自分が何を言ったか…」
「はい…」
「何をしたのかも…」
「はい…」
「わからないです、ミルさん」
「そう…でしょうね」
「はい…」
「私もそうですから、ローレンさん」
ローレンは掴んだミルの腕をぐいと自分に引き寄せた。
「ん……」
ミルの唇が塞がる。
静寂の中、鍋がコトコト煮える音だけが聴こえる。
少しして。
「っは……はぁ…はぁ……」
ねちゃりと湿った音の後に、ふたりの呼吸音が重なる。
「んっ!」
再び呼吸音が消え、カウンターのグラスが倒れた。
ぴちゃぴちゃと水滴のような湿った音とともに、カウンターの上に置かれたモノがカタカタと音を立てて倒れていく。
頭の上で
もう片方の手はミルの袖の中を潜り抜け、自分の手に余る相手を御そうとした。 暴れ狂う相手もなかなかに、ローレンの手中に収まろうとはしない。
ミルの白く柔らかな手は、ローレンの身体を締め付けるモノを解いてゆき、その中にある熱いものを引きずり出した。
しかし、ローレンもありのままの自分の全てを、ミルの手中に収める事は許さない。 熱り立ち、ミルの
ミルはローレンの抵抗に一瞬目を見張るも、その端にある泣き黒子を垂らすように目尻を下げた。
「いいんですか…」
「おねがいよ、きかないで…」
「そうです、かっ!」
「あ…っ!!」
ミルはカウンターにしがみつく様にして、ローレンに烈しく押し付けられた。
ローレンは自分の想いをミルに叩き付ける様に荒々しく、乱暴に、そして突き付ける。
ミルは嬉々として
「んあっ!!」
ローレンはミルの背後から覆い重なり、ミルの髪を掻き上げて首元に唇を添わせた。
ローレンは唇から舌をのぞかせて、ミルの耳にぶらさがる柔らかい部分から、口の中にに引き摺り込んで歯を立てた。
ミルから声にならない声が漏れて、ローレンはそれをいたずらに塞いでは開放した。
ミルは腰から力が抜けて、カウンターからずれ落ちるそうになるも、ローレンはそれを何度も押し戻す。
ミルはカウンターを強く握りしめたが、その上からローレンの大きな手が重なり、握り締め、引き剥がし、回転させて、ミルを仰向けにした。
もうふたりの間に妨げになるものは糸の一本もない。
ミルの身体から溢れ漏れる流動体は、ローレンの身体にべったりと纏わりついて離さない。
ローレンはその流動体に身を任せ、ミルの隙間と言う隙間に埋没し、掻き乱し、突き上げた。
そして
止め処無く。
何度も。
何度も。
酔っているから。
仕方ないと。
酔っているから。
何を言ったのか。
何をしたのか。
分からないと。
何に言い訳するのか。
何に遠慮するのか。
小料理屋ミルの
カウンター向こう
鍋の
熱い中身が
何度も
何度も
溢れ出し
やがて
床にも
ボタボタ
ボタボタと
滴り落ちて
コトコト
コトコト
コトコト
音を立てて
鍋は搖れていた…
ローレンは夢を見た。
女性の目からは涙。
ローレンの身体はボロボロで、息は絶え絶えに、足をガタガタと震わせながら、やっとの思いで立っていた。
女性は言う。
「さよならローレン」
「スザンナ…行かないでくれ」
「さよなら」
「待て! 待ってくれ!」
「ローレン」
「スザンナ…」
「愛してるわ」
「スザンナ!!」
─…………。
「ローレンさん」
「っ……ミル…さん…!?」
「ひどく
「私……何か言ってましたか?」
「ひどい人ね……昨夜はあんなに私を求めていたのに、一夜明けると他の女の名前を呼ぶなんて……んふふ♪」
「すみません……私は……」
「んふ……いいのよ、べつに?」
「ここは……?」
「店の二階の私の部屋よ。 ここに連れてきたのはあなたじゃない」
「すみません……」
「んんん、いいの。 それよりも……」
「ん……」
「私、立てないわ?」
「どうして……」
「それはあなたが……」
「あ……」
「ねえ、ローレンさん?」
「何ですか、ミルさん?」
「私は大丈夫」
「何のこ……んっ」
ミルはローレンの唇に自分の唇を重ねてローレンの言葉を拒絶した。
そして、ゆっくりと離れたと思ったら、ひしとしがみついて、ローレンの胸に顔を埋めた。
ミルは深く息を吸い込み、熱い息を漏らした。
「もう……何も言わずに出て行ってください」
「えっ!? どうしてっ!?」
再び唇を重ねる。
「何も言わずにって…言ったでしょう?」
「私は……貴女を……んっ!?」
「っぁ……私は大丈夫だから……出て行ってください、お願いします!」
「愛し──っんん──!!」
「やめてください!! お願いよ……お願い……出て……行ってください……出て……」
ミルは泣いている。 ローレンの胸にしがみついて。 泣いている。
ローレンはそんなミルをまるごと包みこんで、ミルの抵抗を許さなかった。
「私は決めました」
「…………………」
「この一週間ここに居座ります」
「何を──っんん──!?」
「確かに愛と呼ぶには、私は貴女を知らないし、貴方も私を知らない」
「だから、私はあの人を──っ!!」
「貴女はその人を忘れなくていい。 私はそのままの貴女をこの一週間、見続けます」
「………………」
「これは品定めです。 私は自分で言うのも
「………………」
「品定めして、私がどうしても欲しいと思ったならば買い取ります」
「……私を?」
「ええ。 貴女の全てを」
「私は売り物じゃないわ!?」
「買います!」
「だから─」
「私の全を賭けて!! 貴女の全てを!!」
「………………」
「だめ……ですか?」
「じゃあ……品定め?してくれるかしら?」
「はい!!」
「高い買い物になっても……知らないんですからねっ!?」
「言ったでしょう?」
「ん?」
「私はそれなりに名前の通った」
「「プロデューサー」」
「んふふ。 じゃあ、私を貴男好みの女にプロデュースしてくださるのかしら?」
「何を言ってるんです。 私がプロデュースするのは……」
「……するのは?」
「貴女の幸せですよ!!」
「──っ!?」
ローレンはミルをぐいっと引き寄せて、自分の胸に頭を乗せて、汗で張り付いた髪の毛を掻き上げた。
ミルの笑顔を確認すると、そのぽってりとした唇に指を当てて、出てきた舌の上に乗せる。
ミルはローレンの指を咥え込み、舌の上でれろれろ転がして、ねっとりと唾液を絡めた後、その指に歯を立てて笑って見せた。
ローレンはふふと笑うと、ミルを転がしてうつ伏せにさせると、後ろから彼女を羽交い締めにした。
「あっ! これ以上は本当に立てなくな──あっ……」
「知るか、そんなこと!!」
「もう!! 本当にプロデュースする気ある!?」
「ああ、こっちもしっかりとプロデュースしてやる!!」
「ひゃっ!?」
ローレンは敏腕プロデューサーだ。
一週間後。
ナーストレンドの街の路地にひっそりと構える小さな店の看板は取り払われていた。
「あれ? ローレンさん、少し雰囲気変わりました?」
「ベノムか……。 いや、別に?」
「……そうすか。 お昼は、どのお店にします?」
「いや、私は……」
「あれ? 弁当とかっ!? 作ったんですか??」
「ん? ……いや、別にいいだろう!?」
「あ、何隠してるっすか!?」
「勘弁してくれ」
ベノムはローレンの耳に近付いて小声で言う。
「誓っても良いっす。 女っしょ?」
「おまっ!?」
「いや、何も言わなくても良いすよ。 良かったっすね?」
「ん。 まあな」
ベノムは再びローレンに近付いた。
ローレンはひとつ息を呑んで覚悟を決めた。 が。
「ローレンさん…柔軟剤の良い香りが漂ってます」
「──っ!?」
ローレンは慌てて煙草を探したが、持っていなかった。
そして、先日持っていた煙草を全て捨てた事を思い出して、はぁとため息をついた。
「ベノムのやつ……」
ローレンは左手の指輪を眺めて、ふふっと笑うと、また表情を消してパソコンに向かった。
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