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二次創作。
「モーヴ・モブデッサはアールヴ大森林の夢を見る(中)」
「…………。」
あたしは、29歳にもなって、あまり酒の種類も知らない。こういうところでは、何、と注文するのが、スマートなのだろう?
(……ミルクが注文したい。)
さっき、お酒を頼む、と決めたのに、さっそく、ノンアルコールを注文したくなる自分が情けない。
あたしが、うつむいたまま、唇を閉じたり、開いたりしていると、すっ、と目の前に、カクテルグラスが置かれた。
「えっ?」
「僕のおすすめです。マルサラワインをベースに、桃ジュースと、オーガカサブランカで香り付けをしています。」
顔をあげると、ニヒルで格好良い男の人だった。耳にピアス。目があうと、にこっ、と笑った。
「飲みやすく、爽やかな甘さは、大森林の木陰で昼寝するかのよう。───アールヴの緑陰《りょくいん》、という名前のカクテルです。どうぞ。」
「……ありがとう。」
あたしは端正な顔のバーテンダーに感謝しつつ、そっと、カクテルを口に含んでみた。
「……美味しい。」
ひんやり冷えた「アールヴの緑陰」は、甘く、爽やかで、飲みやすく、後味にオーガカサブランカの華やかな香りが残った。
まるで、アールヴ大森林の大木にもたれかかり、木陰に安らぐよう。
有名なカクテルなのだろうか?
「いくらでも呑めそう。あの……、あたし、お酒の名前、良く知らなくて……。」
「ええ、ご存知ないでしょう。僕がさっき、お客さんの為に作った、オリジナルカクテルです。お気に召したなら、良かった。」
「!」
あたしは、ビックリして息を呑んだ。
(この人、格好いいー!)
しかし、そう思っても、気の利いた言葉がとっさに口から出てくるわけもなく。ただ瞬きしながら、そのバーテンダーを見ていると、バーの奥から、
「おい、ベノム! そろそろ準備しろ!」
と声がかかった。バーテンダーは振り返り、
「はい!」
と返事をし、あたしを見て、また、にこっ、と笑った。
「ごゆっくり。」
あたしは頷き、バーテンダーを見送り……。
10分ほどして、魂を抜かれた。
〜続く〜
作者からの返信
加須千花先生
うひゃーーーーーー!!
ベノム!! 加須千花先生の小説にベノムが!!!
しかもキャラの雰囲気そのままに、いや、それ以上?めちゃくちゃカッコイイ!!
そして、楽しすぎる!!
あと一話読むのが勿体ない!
勿体ないけど、行ってきます!!
ベノムにもこれほどの過去が……。
愛する人のために生きる男たちの背景が語られて、タイトル通り、狂愛曲の様相を呈してきましたね。
カレーレシピまるごと譲渡でどうなることやら。
作者からの返信
プロエトス先生
よく云われる事ですが、人の数だけ物語はあるのです。
人の生き様、愛の形があって、それらの音がメロディに、メロディが一つの曲に、多種多様な楽器や歌声でオーケストラを成し、一つのタクトを振ってそれらの音を合わせ導くのです。
小説って楽しいですね♪
カレーのレシピはまさにスパイスに他なりません。 彼らの物語は過去ではなく現在進行しているのです。
彼らの生きてる証を物語を通して見守ってください。(*´ω`*)♪
編集済
かごのぼっち先生、更新ありがとうございます(((o(*゚▽゚*)o)))
和やかな仲間の雰囲気の中で語られるベノちゃんの物語がエグすぎ(でも好き♥️)😭ヘレンさんの辛さを思うともう😭😭😭
クロちゃん、正義の鉄槌を頼むぜ‼️‼️‼️
先生のお書きになるストーリーはポップで賑やかだけど、実は重層的で海のような深淵がある、これがかごのぼっちクラスタにはたまりません🍀
更新頑張ってください、熱烈応援しております❀.(*´▽`*)❀.
作者からの返信
みかぼし先生
はい、生きると言う事は楽な事ではありませんし、生まれも育ちもあまり選べるものでもありません。
今の戦争でもそうですが、受け入れざるを得ない現実と言うものがあります。
その中にあって、どの様に受け止め、どの様に生きるのか。活きるのか。そうでないのか。それがそれぞれのキャラのテーマとなります。
この世に生を成したからには成る可くは樂しく活かせてあげたい。私は作者として彼らを丁寧に導いて、生きたことの意味を強烈に刻んでやりたい、と思っております。
(・ิω・ิ)キリリ
かわいそう!!!
ひどいがすぎる!
ぷんぷんだよ!
ぷんぷん!!!
作者からの返信
こいさま
ベノムたちの為に怒っていただき、ありがとうございますm(_ _)m
彼らにもそれなりの過去があり、しかし腐ってはいません。自らの足で立ち、ひたすら前を向いて歩んでおります。どうか応援してやって下さいm(_ _)m