10月10日火曜日10:45



 小夏の家に行ったが、小夏は家にいなかった。



 どこにいるのだろうと、必死に探したら、公園にいるのを見つけた。




「小夏!」

 そう叫ぶと小夏がこっちを振り返った。泣いていたのだろうか、目の下が赤くなっていた。



「悠冬?なんでここにいるの?」

小夏が不思議な様子でこちらを見てきた。



「それは小夏に言いたいことがあるからだよ」




緊張して声が出せなそうになる。





たった2文字の言葉だけなのに怖気付いてしまう。



だけど、しっかり伝えないと。





このタイミングを逃したら一生この想いを伝えることができないのだから。







「ずっと昔から小夏のことが好きでした!俺と付き合ってください!」






あぁ、やっと言うことかできた。







 小夏は目が点になりそうな顔をしたのち、ポタポタと彼女の瞳から涙が出てきた。



 俺はハンカチでそっと彼女の涙を拭き取る。生まれたての赤ん坊を触るように慎重に拭き取る。





それからしばしあと、彼女は俺の手を取り満面の笑みで言った。




「はいっ!喜んで!」











 それから俺たちは疎遠になっていた日々を埋め合わすかのようにずっと話をし続けた。



 旅行に行った話や、ペットを飼い始めたという話、新しい部活を初めてなどなど



 地球が終わる最後に彼女と話せたのは良い思い出になった。










だが時は容赦なくやってくる。



現在の時刻は12:00





隕石がぶつかる予定の時間だ。





俺たちは空を見上げる。



隕石がかなり近づいてきていて、昼時なのに辺りが真っ暗になっていた。





「あ〜あ。こんな簡単に付き合えるならもっと早く付き合っちゃえばよかったのかもね」




よこで俺にくっついている小夏がそう言った。





「確かにそうかもね。だけど今が幸せならそれで良いじゃない?」



確かにね。と二人で笑い合った。




あと少しでこの星は滅んでしまうけど、悲しくはない。今俺は充実しているし、俺たちはまたどこかで出会う。そんな気がしてならないから。









世界が暗闇に満ちたと時、皆が不安や絶望の表現をしていたが、



公園で空を見上げていた2人だけは、希望に満ち溢れた顔をしていた。



















俺は今回の事件で学んだことがある。



この世界で起こることの大抵は終わりが存在する。




昨日まで普通に察していた親しい人が死ぬように。

愛用している食器が急に割れるように。

いつも使っている機械が突然壊れるように。


ローダンセが枯れるように







終わりはいつも唐突に現れる。






今回の隕石の事件だって、前もって知っていたらもっといい時間を過ごせたと思う。





まあ今反省したところで世界はすぐ滅亡するから意味は全くない。














































だって、



















《君の世界はまだ続いている》》。














いつ終わってしまうか、わからないこの世界で















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あのローダンセが枯れてしまう前に 昼乃 夜空 @atarasiihirunosora

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