第021話 空間プラグの練習
日曜日の午後。
今朝は早朝から時空間遮断膜の練習と実験をやって楽しかった。朝食後は宿題をやったり二度寝したりであっというに終わった。あおい、あかり、あんなはひかりと一緒に図書館へ行っていたようだが、昼前には戻って来た。
昼ご飯を食べた。
そんな午後。
また5人で僕の部屋に集まり、今から空間プラグの練習をやってみる。
いろんな所に繋げてみたい。
「ひかり、どこか行きたいところない?」
「ブラックホール。」
「何もかも吸い込まれて地球が終わるからだめ。」
「月に行きたい。」
「いや、そうじゃなくて、もっと地球の近辺で。」
「じゃ、宇宙ステーション。」
「確かに地球には近づいたけど。大気圏内でよろしく。」
「ホワイトハウス。」
「う~ん、行ってどうする。その場で身柄拘束されるよ。」
「じゃあ、どこならいいの?」
「できるだけ余計な騒ぎにならない場所で。」
「じゃ、トイレ。本当に行きたいの。」
トイレに繋げた。ひかりは本当にトイレに行き、トイレを済ませてすぐ戻って来た。
「廊下でお母さんがびっくりしていたよ~。」
お母さん、ごめん。
でも、これは便利だ。家の中を歩き回らなくていい。
「空間プラグって大きさ変えられないの?」
「変えられるよ。やってみよう。」
いつも出している人間が通れるサイズではなく、直径30㎝くらいの楕円形に設定。
キッチンの冷蔵庫のドアの内側に空間プラグをつなげた。
真っ暗だ!
こちらから漏れ出た光でかろうじて何があるか見えた。
冷蔵庫のドアを開けずにコーラのペットボトルを取り出せた。
同様に食器棚につなげてコップを取り出し、僕の部屋のちゃぶ台に並べて行く。
1個、2個、3個、………
全部並べ終わる前にお母さんが僕の部屋にやって来た。
「あなたたち、さっきから一体何をやっているの。」
「え?」
「廊下やら食器棚やらに急に変な物が出てきたらびっくりするじゃないの。」
ごもっともです。
「ごめんなさい、脅かすつもりじゃなくて、色々と練習をしていたの。」
お母さんはあまり納得しない顔で戻って行った。
コーラを飲みながら、ひかりが聞いてきた。
「ブラックホールに一瞬繋げてすぐ閉じたらだめかな。」
ひまりはどうしてもブラックホールにつなげてみたいらしい。お前は一体ブラックホールに何を期待しているんだ。
あおいが解説する。
「ブラックホールからは強力な重力やX線などが出ています。」
「一瞬でも繋げたら、その瞬間に周辺の生物は即死です。」
「仮に死なないとしても、何も見えませんし、仮に見えたとしても、何も面白いものはありません。」
ひかりは目を丸々とさせていた。それ以来、ブラックホールとは言わなくなった。
「同時に何個開けるの?」
「特に制限はないみたい。」
「スターゲイトみたいに一方通行に出来ないの?」
これはまたあおいが答えた。
「スターゲイトはワームホールを仮定した技術なので一方通行になるようです。」
「空間プラグは両側の空間が直接接続しています。したがって一方通行にはなりません。」
「ふぅん。つまんないの。」
ひかりはいったい何を期待しているのだ。
空間プラグの練習はこのくらいでいいかな。
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