第7話 9月19日の音
物音がするする。
と、通報が相次いだこの部屋には、いまはもう誰も住まない。
それなのに物音がする。
時にカソコソと、時にガリガリと、時にがガソコソと、時にガタガタと、時にピチョンピチョンと、時にボソボソと。
誰もいない部屋に、まるで何かが住んでいるかのような音が聞こえる。
普通であれば、他の部屋からの物音だと思うだろう。しかし、噂があいつぎいまはもうどの部屋にも住んでいる人はいない。
なら、いま音をたてているのは何なのだろうか?
そう考えていた時だった。
ミシッと、確かに足を踏みしめる音が聞こえた。
それは私の背後で聞こえたように思う。
と、再びミシッミシッと音がした。
先程よりもはっきりとした足音が。
体は強張り嫌な汗が背中を流れる。
恐怖に飲まれるなか、後ろを振り返ろうともできずにいた。
その間も足音は近づいてくる。
そして、いまでは私の背後にそれがいると気配でわかる。
呼吸が荒くなり心臓が煩いくらいになっている。
なんとか、背後のソレをやり過ごせないかと考えていたその時、私はそれと目があった。
窓ガラス越しに映るソレは、ニタリと身の毛の立つ笑顔をたたえていた。
物音 遊bot @asobot
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