第6話 9月18日の音
物音がする。
ボソボソという音がする。
それに気がついたのは眠る直前だった。
そのため部屋の明かりは既に消しており、真っ暗な部屋の中に微かな音がしている。
はじめはテレビやパソコンを消し忘れたのだと思った。だけど、テレビもパソコンもきちんと電源がきられていた。
そのため、気のせいだと思い再び横になった。
するとやはりボソボソと聞こえてくる。
隣室から漏れ聞こえてくるのかとも思い、耳を澄まして音の出どころを探してみた。
しかし、どうやらその音はこの部屋から聞こえているようだった。
私の側で……。
スマホから聞こえてくるのかと思い、念をいれて電源を落としてみた。それでも音はする。
不思議に思っていたその時、私はそれに気がついてしまった。
布団を被ってやり過ごしたい衝動に駆られたが、それは絶対にできない。
なぜなら、その音はまさに布団の中から聞こえてくるからだ。
しかも、音の主は少しずつ迫り上がってきていた。
少しずつ、少しずつ。ボソボソと、ボソボソと。その音を、はっきりとした大きくさせながら。
今すぐにも布団を跳ね除け逃げ出したい。
でも、体は強張り嫌な汗が背中を流れ、恐怖に飲まれた私は身動きがとれなかった。
そして、それは私の眼前のすぐそこまで来た。いまは、布団一枚程の距離しかない。
その距離も布団が少しずつ持ち上がり、いまにもなくなろうとしている。
そして私はそれとか目があってしまった。
目があるはずの箇所に、ポッカリと空いた虚ろをたたえるその顔と。
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