第2話

「あ、あなた、誰…?ていうか、どうやって学校に入ったの?」

私の質問に女の子は答えることなくフッと笑った。その笑顔にはどこか懐かしさも感じたが気のせいだろう。

「さあ、雨音!ついてきて!」

「え、え!?」

彼女に腕を引っ張られ何処かに連れて行かれる。

「ちょっと、どこ行くの!」

どんどん薄暗い森の中へと入っていく。

すると、建物が見えた。ボロボロの建物でいつ壊れるかわからないような建物だった。

「さあさあはやく!」

ギシギシと音を立て、今にも床が抜けそうだった。

 中に入ると試験管がたくさん置かれており中には液体が入っていた。

悲しみの涙、嬉みの涙、笑いの涙・・・

「涙?」

「そう」

気づけば彼女は横にいた。彼女は仮面を被っていて顔は見えないが、彼女が涙にすごく興味があるということがわかるほどじっくり眺めていた。

「綺麗だよね。涙って。」

「そう、なのかな?全部同じに見える…」

「もう、なにもわかってないなあ。」

呆れたようなため息を出し、話し始めた。

「涙にはね、その人の色んな経験や感じ方思いが一滴一滴にこもっているの。そう思うと見てるととても面白くて。」

彼女は本当に涙が好きなんだ。少し変わっているが、確かにそう言われると涙も面白いなと思ってしまう。

「そうそう!これが私の仕事!」

「え、これって、涙を集める仕事ってこと…?」

「そう!勘違いしないでね!趣味じゃなくて、し・ご・と!」

「は、はあ、」

 私は変な人についてきてしまった。これから先…どうなってしまうのだろう。自殺しようとしていたところ捕まり、こんなところに連れてこられて、変な仕事手伝う羽目になって。私は一体何をしているのだろう。こんなことをしたっていじめがなくなるわけでも、人生が楽しいと感じるわけでもないのに。つまらないものはつまらない。どうせこの人も私に呆れて離れていくに決まっている。

「雨音?どうしたの?」

「え、いや、なんでもない。そろそろ帰らなきゃ。」

もう8時前になってしまった。また明日、学校に行かなければならないと思うと発狂してしまいそうだ。

「あ、雨音。」

彼女はそんな事も知らずにヘラヘラと…

「何?」

「明日から学校行かなくていいよ。」

「え…?何いってんの。そんな簡単に行かなくていいとか決めれないんだよ。行かないと留年するかもしれない。」

「ちょっと馬鹿にしてんの?それくらい私もわかるよ。大丈夫だから。信じて」

初めてあったような人を信じてはいけないというのはわかっている。けど、何故か彼女は信じてもいいような気がした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

涙石度数 香夜 @neko610

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る