第131話 ホワイトデーのお返し
3/14、卒業式から1週間少々経った頃、ホワイトデーが来る。
義理チョコのいくつかはもうお返しを机に入れておいたから、今日渡さなきゃなのは三つ。
今日午前の部活で愛莉先輩。家へ一度帰ってから夕方に望、今日午後からお出かけ予定の永瀬さん。
忙しい一日になりそう。
俺は家族に帰り夕方なるよって伝えて家を出る。
バレンタインデーにチョコお裾分けしたから今日のホワイトデー忙しいって母さんは知ってるからニヤニヤして、
母『宏介、ふぁいと!』
『…そう言う事言うな。』
女の子怖くてたまらないって言うのにさ…。
☆ ☆ ☆
バスケ部の練習はいつも通り。
長期休暇は課題を持つ事を今のキャプテンの代から推奨している。
俺は愛莉先輩と一緒に肉体改造と攻撃力のあるPGっていうテーマでずっとやってきたからそのまま継続している。
愛莉先輩は俺の女性恐怖症を理解してくれて、基本的にほどほどの距離で接してくれて、練習中は厳し目に接してくれる。
…でも、言葉の端っこや視線に俺を心配してくれたり、理由があってこうしているって伝わるから俺は先輩を信頼している。
今日も、疲れて雑になった所を指摘されて、細かいフォームの改善と、修正点を動画で撮影したモノも見ながら教えて貰った。
先輩のスマホを一緒に見ながら、あーだこーだ。
…先輩は言う、
愛莉『なりたい自分をイメージしながら反復練習あるのみだよ。
でも、無理は絶対にダメ!お姉さんと約束だよ!』
人差し指ピッと立てて言う愛莉先輩のコミカルさが可愛い。
この人俺より年上なのに、時々背伸びしてお姉さんぶってる感じが…。
愛莉『もう!宏介くん!余裕あるならシュート練習倍にしようかな?』
『…勘弁してください。』
愛莉先輩は本当によく見てて、本当にギリギリの練習量を課してくる。
もうダメって境目、ゴリゴリの根性論では無い計算された科学トレーニング。
…それだけの負荷がすっごい。
たまに量間違って、
愛莉『宏介くん!宏介くんストップ!オーバーワーク気味だね!
私が欲張った!ごめん!』
そういった時は止めてくれる。
ありがたい。
さて、先日の先輩たちを送り出してからはまだ差堀は来ていない。
…本当にもう来なくて良いのに。
先日の一件以降、愛莉先輩はすっかり元気になった。
差堀の性病が受け入れ難かったみたいで露骨に差堀と距離をとっていてたぶん良い事だと思う。
そのせいで、
一年マネ『ボールも!フロアーも!全部消毒!清掃!』
二年マネ『汚物は消毒だー!!』
追い出し会後、完全清掃を余儀なくされて、練習よりキツかった。
あの黒歴史の妖精はマジでロクな事しない。
☆ ☆ ☆
今日はホワイトデーって言うのもあって、連名でチョコくれた女子マネージャーたちに俺たちも連名でホワイトデーのお返しをしている。
康司はマネージャーひとりひとりに個別に何か返したらしい。
…マメで感心する。
…特に二宮さんにブラック雷のチョコ貰ったお返しに、ブランド物のハンカチはやりすぎじゃ無い?って思うけど渡す手段が無いって泣きそうだったから、永瀬さんに渡して言付けお願いしたら?ってアドバイスした。
俺も、今日は個別で貰った愛莉先輩にお返しを用意してるんだけど…。
なかなか渡すタイミング無いから、練習後にしよう。
そう思って練習に励む。
練習終わって、ボールやフロアをモップかけて、ほぼ正午。
きっつい。練習後の作業が1番面倒でしんどい。
そしてやっと出来た時間で、愛莉先輩にプレゼントを渡す。
…前に雑談でプリンが好きって言ってた。
お取り寄せのプリン詰め合わせセットにハンドタオルセット。
前にハンドクリームセット渡してるんだけどマネージャー業で洗濯や炊事的なものが多く、手の負担多いからそれ繋がりでそういったギフトにしたんだ。
愛莉『え?2個もくれるの?
ハンドタオルセットと…プリン!
私プリン好きなのよ!ありがとう!
前に貰ったハンドクリームまだ使っているよ?』
『…俺も2個、チョコとプロテイン貰いましたし?
いつもありがとうございます、愛莉先輩。』
愛莉先輩は嬉しそうに目を細めて、
愛莉『もう!お姉さんにそんなに気を使って!
でも嬉しいよ?ありがと♪』
『…愛莉先輩が喜ぶ顔見たかった。』
愛莉先輩はポカンとした顔したあと、真っ赤になって俺をポカポカ叩いて、
愛莉『もう!弟のくせに!
お姉ちゃんをドキッとさせて!
…女たらしなのー?!』
『…いえ、まったく女たらしでは無いです。
…でも感謝してるって伝えたいっす。』
愛莉先輩はもうニッコニコで、
愛莉『そう言えばー?
私こないだ、宏介くんの親友の承くんに会ったのよ?』
※2月頃、今日の本編で遭遇↓
https://kakuyomu.jp/works/16817330656200078233/episodes/16818093072834293304
『…言ってましたね?先月?』
愛莉『そう!俺カレの彼!
…話し違うけど感謝してくれているんだよね?
あー。俺カレのカレー久しぶりに食べたいなぁ(棒読み)』
俺は苦笑いしながら、
『じゃ、今度行きます?』
愛莉『春休みが良いなぁ♪春休みなら時間作れるなぁ♪』
『…今度時間決めましょう。』
『うふふ!悪いわね?催促しちゃって♪』
ご機嫌お姉さんになった愛莉先輩は大層愛らしく、春休みにどこかで俺カレへ行く事を約束した。
…承も愛莉先輩に見て貰えばバスケ上手くなるんじゃ無い?
愛莉先輩は承の弟のひーちゃんの可愛さと妹の望の美少女っぷりを絶賛していた。
ひーちゃんは天使、望は猛獣ですよ?
望の話を聞いて愛莉先輩は目を丸くしていた。
愛莉『宏介くん…姉ポジと妹ポジ両方居るの?!』
何故か驚いていた。
姉?妹?
俺には兄しか居ないけどね。
最近愛莉先輩は俺に『姉』と主張するし、
望は『妹』じゃないよ!って主張する。
…女の人って難しい…。
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