第319話 声をかけられる
トイレから出たひーちゃんは人混みで一瞬自分が何処に居るかわからないみたい…。
キョロキョロするひーちゃん可愛い…うちの弟まじ天使…!
お姉ちゃんはここに居るよ!って手を振って声を掛けようとした所、ひーちゃんに声をかける若い女性!
?『あら?こんにちわ♪ひとりかな?』
(ひーちゃん誘拐される?!)
私は慌てて愛しいひーちゃんの元へ駆け寄る。
その女性は服汚れるのに膝ついてひーちゃんに目線を合わせて微笑みながらうちのひーちゃんに語りかけてた。
?『お名前は?何処から来たのかな?
あ、アメどうぞ?』
ひー『…たちなばひかるです。…しんかわちょうからきました。
たべていいの?』
?『…新川町?宏介くんと一緒?』
なんで宏介くんの名前が?
それより!うちの兄弟はすぐ食べ物に誘惑されちゃうんだよ!
※おま言う。
あたしは急いで声をかける!
『うちの弟です、大丈夫です!
すいません。
…宏介くんの知り合いなんですか?』
その女の人は茶色い光沢のあるロングヘアがしゃがんだ時にちょっとほつれてすっごいセクシー!ちょっと垂れ目の美人さんで優しそうなお姉さんって感じ…。お嬢様コーデで品がある…。
ん?そのおっぱいどうなってんの?成実ちゃん位はあるよ…?!
それよりこんな大人びた美人の口から宏介くんの名前?
?『あら。本当に宏介くんの知り合い?斉藤宏介くん?』
お姉さんはにっこり微笑んで、立ち上がるとひーちゃんと自然に手を繋ぐ。
ひーちゃんも大人しく貰ったアメをモゴモゴしながら手を繋いでいる。
…ひーちゃんなんでそっち側?
『私はね?北翔高校の二年生の天堂愛莉って言います♪』
承『望どうしたん?』
兄ちゃんが戻ってきた。
なんか美人がね?ひーちゃんを連れて行きそう?
冗談言うと兄ちゃんがお姉さんに謝る。
『すいません、うちの妹が…
…あぁ、弟にアメまで?ありがとうございます。
あれ?こないだ宏介と?』
愛莉『…あ!立花くん?だよね?俺カレの?
立花くんの妹さんと弟くん?
どっちもすっごい可愛いねー!』
兄ちゃんとこの巨乳タレ目美人は知り合いらしい…!
宏介くんが共通の知人なんだろうけど…?
このお姉さんは良い人だと思う。ひーちゃんやあたしに対する目の色や声色から伝わる。
でも、こんな美人が宏介くんの側に居るの?
一緒に兄ちゃんのバイト先に来たの?
気になって仕方ない。
愛莉『先日のご飯もすっごく美味しかった!
…また行きたいって思ってるのよ?』
承『はは!また宏介と来て下さいね!』
愛莉『引き留めてごめんね?
じゃ、失礼します。』
その愛莉さんとやらはあたしにもアメくれて。
あたしを見つめて、
愛莉『可愛い!中学生かな?
目鼻立ちがクッキリしてもう可愛いけど、すっごい美人さんになる顔!』
『…ほんと?』
こんなお姉さんが言うならあたし中々のモノじゃない?
良い人そうだし、美人だし、バインバイン。
…宏介くんはこのお姉さんをどう思っているのかな?
…ひーちゃんはまだお姉さんと手を繋いでいる…。
ひーちゃんにはもうお姉ちゃんが居るでしょ!
名残惜しそうな顔しないの!
☆ ☆ ☆
トイレも済ませてバス停に向かうとすぐにバスが到着する。
ひーちゃんはくりくりおめめをキラキラさせてバスを見つめて居る。
『昨日どこ座ったの?』
承『後ろのあの辺?』
兄ちゃんが指を指す。じゃ、そこにしようよ!
ひーちゃんに車内は声響くから小さい声で話す事、座席から動かない事を兄ちゃんが言い聞かせる。
ひー『ぼく!ぼくひとりですわりたいよう!』
ふたりがけの座席が縦に並んでいる、前の列にひーちゃん、一列後にあたしと兄ちゃんが座る事に。
いよいよバスに乗り込む。
ひーちゃんの顔が輝いてる。
兄ちゃんがニコニコして、
承『望、見てみて?』
ひーちゃんはバスの窓に顔がくっつきそうなほど夢中になって外を見たり、バスの中を見回したりご機嫌。
『『ふふ!』』
私たちふたりは顔を見合わせて笑っちゃう。
小声で話すから顔は近くて仲良し兄妹って感じ!
小声でひーちゃんバス初めてじゃない?とか話していると兄ちゃんが後ろから肩を叩かれた。
おばあちゃん『貴方?昨日も居たわよね?
…あんな綺麗なお嬢さんと交際して?今日は違うタイプの美人お嬢さんとデート?
それ良くない!若いんだから!
ちゃんと!ひとりにして!お付き合いなさい!』
兄ちゃんもあたしもぽかん。
兄ちゃん?このおばあちゃん誰?
兄ちゃんは必死におばあちゃんに説明してる。
なんだ?話しから昨日香椎先輩とのデートを見たのに違う美人の女の子と今日デートしてる!って兄ちゃん怒られたの?
あはははははは!ヤバい!
おなか痛い!兄ちゃん屑男ムーブ(笑)
ケラケラ笑う私と反対に真面目な顔で説明する兄ちゃん。
ひーちゃんにまで証言させて、
ひー『はじめまして?ぼくとにいちゃんとねえちゃんはきょうだいです?』
おばあちゃん『やだ!私ったら!
早合点して!ごめんなさいね?』
『…妹とお出かけして彼氏に間違われるとかそんな事あるんだな…。』
望『少女マンガではあるかも?片思いのイケメンがすんごい美少女と腕組んで歩いてて?絶望したヒロインに妹です?みたいな?姉のパターンもあるよ。』
『はー?そんな事が…?』
兄ちゃんは納得したようなしてないような。
前の座席にひとり座るひーちゃんを監視し始めた。
私は兄ちゃんとお出かけ楽しいし、別に彼女と間違われたって、違うよ!で済ますけども同級生とかで絶対兄弟と出かけない!恥ずかしい!って娘もいるから兄弟との関係も人それぞれなんだよね。
…でもね?兄ちゃんとあたしがカレカノに見えるならさ?
2歳差なんてそんなモノじゃ無い?
だからきっと、宏介くんとふたりで歩いても兄妹にも見えるし、カップルにも見えるって事じゃない?
承『望嬉しそうだな?』
『兄ちゃんもこんな可愛い妹連れて歩けて嬉しそうだね?』
承『言いよるわ。』
あたしと兄ちゃんが楽しそうに話していると、
ひー『やっぱりせまくてもいっしょがいい。』
ひーちゃんが間に入りたがるよ。
結局あたしがひーちゃんを抱いて窓際、兄ちゃんが通路側でずっと楽しくくだらない事を話しあったよ!
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