第318話 たのしいおでかけ

相当早く出てきた俺たち。

時刻はまだ10時前、急かされて早く出過ぎたんだね。

お昼食べるには早すぎる、だから先に植物園行ってからターミナル駅に戻って来て遅めの昼ごはんを食べて帰る事にした。


おやつに駅ビルのフードコートでたこ焼きとフライドポテトをテイクアウト。

望がクレープをひーちゃんと分ける。

口の周り中クリームまみれにしてキャッキャ笑って食べてた…望が。


ひー『ぼくはもうすぐおにいさん!』


ひーちゃんはキレイに食べたね?って褒めると誇らしげにそう答えた。

さてひーちゃんはたこ焼きを気にしてる。

駅ビルの中にも焼きたての外はカリッとなかはとろとろの有名チェーン店のたこ焼きも売っている。

しかし幼児の性なのかひーちゃんは大変な猫舌。

一回先ほどの中はとろとろたこ焼きを食べて悶絶してからひーちゃんは地方ローカルあるあるの県内フードコートの軽食チェーンのチープなたこ焼きを冷ましてほのかに暖かい位で食べるのが大好き!


ひー『しょくぶつえんついたらみんなでたべようね?』


たこ焼きをすっごい楽しみにしているんだ。

本当は自分で持ちたいんだけど両手はラッピングされた絵本で塞がっている。


ひー『ぼくどっちももちたいな…!』


望『…どっちかにした方がいいんじゃ無い?』


俺のリュックに入れて…そうだ!


『ひーちゃん!ひーちゃんのリュック買おう!』


望も良いね!って同意する。

ひーちゃんはぽかん。

フードコート横のファンシーショップに望がひーちゃんを引っ張っていく。


ひーちゃんはリュックを買って貰えるって理解してもう大興奮!

店内に入り、望と一緒に選び始める、

そしてひーちゃんはすぐ一つのリュックに目を奪われる。


ひー『…これ。これがいいな。』


ひーちゃんが選んだのは車柄のリュック。

青を基調に色とりどりの車が沢山プリントされている。

ひーちゃんの目はそのリュックに釘付け。

兄として、姉として弟のこういう顔見るのが1番たまらない。


望『結構するね…?』


望、余計な事言うな。

ひーちゃんは不安そうに、


ひー『たかいの?…ぼくこれいらない…。』


兄ちゃんを舐めんな?

ひーちゃんのお兄さんだぞ?


『ひーちゃん、高いんじゃ無くってこれは良いモノなんだ。

大事に使えば長く使えるやつ。

長く使えるならそっちの方がお得なんだよ。?』


これが良いんだろ?そう聞くと嬉しそうにひーちゃんは何度も頷いた。


お会計を済ませて、すぐ使いますって店員さんに伝えて値札やタグを外してもらいアジャスターで長さを調整する。

リュックを抱きしめてひーちゃんは俺たちにお礼を言う。


ひー『にいちゃん!ねえちゃん!ありがとう!

ぼくだいじにつかう!きれいにつかっておとうとにゆずるよ!』


この言葉に俺たち兄姉のみならず店員さんも泣きそう。

うちの弟マジ天使…!


少し大きめリュックを担いで絵本を入れる。

袋をしっかり密封してたこ焼きも入れる。

ひーちゃんは誇らしげに初めてリュックを担ぐ。


ひーちゃんは嬉しそうに何度も何度もリュックを振り返る。


さてそろそろバスの時間。

昨日と同じ時刻のバスに乗れそう!

望とひーちゃんを促してバス停に向かうよ!



…?


ひー『…おしっこ。』


ひーちゃんは困り顔。

テンション高くて気付かなかったのかな?

望はさっきフードコートで行ったはず。


『ひー?トイレ行こうか?

すぐ出ないよね?』


ひーちゃんは真面目な顔をして、


ひー『すぐはでない…でもあといっぷんがげんかい…。』


『すぐじゃねえか!望!荷物頼む!』


たこ焼き入ってるリュックをトイレに入れるのは抵抗ある俺はひーちゃんリュックを望に手渡す。

すぐトイレ済ませればバスは余裕!

でも1分しかひーちゃんのタンクは猶予が無い上に防寒装備はちんちんが出るまで地味に時間がかかる。


望『早く帰って来てね?

私くらい可愛いと?昨日の先輩みたいにナンパされちゃうよぅ!』


自分を抱きしめ身を捩る望を放置して急いでひーちゃんを抱えてトイレへ走る!


ひー『…にいちゃん、おトイレはいるとすぐおしっこでそうになっちゃうのなんでかな?』


『我慢!もうちょい!』


わかるよ、トイレ行くともう用を足せるって身体が反応して尿意が強くなるよね!もうちょっと!もうちょっと我慢してー!



☆ ☆ ☆

誰かを待つ美少女(自称)  side立花望


昨日ターミナル駅で待ち合わせた兄ちゃんが香椎先輩がナンパされてるとこ割って入って助けたらしい。

なかなか点数高いよね?

先輩キュンキュンしちゃったんじゃない?


私だってちょっと変質者っぽい大学生にしつこく付き纏われて?それを宏介くんが助けてくれた時トゥクン!ってしたもん。


昔はナンパされる=魅力的みたいな事思ってて。

ナンパ位されなきゃ?って思ったけど今はナンパ男大っ嫌い。


…ターミナル駅は県内一の都会エリアで地元の新川町とはだいぶ違う。

おしゃれな人や派手な人も多い。

本当にナンパされないよね?


自分で言うのはなんだけどあたしは結構モテて?

でも同級生の男子に興味持てなくって?出来るだけ告白されないように立ち回っているんだよ。

…出来たらちょっと年上で?大人っぽくクールで?顔立ち綺麗で?内面は兄ちゃんみたいな?そんな人が良いなぁって思ってるんだけど…。


まあ可愛さには多少の自負があるわけです。

道ゆく男の人がけっこうあたしを見てる…自意識過剰だったらごめんだけど。

なんとなく居心地悪い。

早く兄ちゃんとひーちゃんに戻って来てほしい。



あ!ひーちゃん出てきた!

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