第317話 ブラコンVSシスコン

笑いながら新川駅に着く。


女子『望ちゃん!』

女子『望ちゃん可愛いー!』

女子『ひーちゃん!ひーちゃん!!』


さっそく望の同級生に囲まれる…!

望は結構人気あるらしく女子達は望に話しかけ、ひーちゃんを撫でる。

俺は微笑んで少し離れてその光景を見てるけど…。

望の同級生男子なのかな?こっちすごい見てる?

女子が俺に教えてくれる、


女子『望ちゃんモテるんですよ?』

女子『望ちゃんは相手にしないんです、格好良いんです!』


ふーん。望がねぇ?

まあ兄バカなんだけどさ?

中学生になって望は確かに可愛くなってきたと思う…。


こっちを伺う男子達に微笑を浮かべつつも何か気に入らない…。

俺シスコン…なんだろうか?


望『ふふー!兄ちゃんはシスコンだから!

あたしに変な男近づくのを許さないよ!

がちシスコン!』


望が薄い胸を張って宣言する!

やめて!誤解されるでしょ!


?『…シスコンなんて気持ち悪い…。』


見た目は格好良い男子が俺と望に近づく。

あ、気に入らない。

…こいつ?サッカー部に居た?


裕太『立花先輩はそうじゃ無いっすよね?』


その男、三島裕太くん?だったかは俺にシスコンなんて気持ち悪いですよね?だから違いますよね?って牽制するように言ってきた…。

※裕太はシスコンです(笑)


俺が中学のサッカー部の頃一年だった子で?

結構上手くて、成績も結構良いって聞いた…。

…宏介の元カノ、三島皐月の弟。


姉ちゃんは姉ちゃんだろ?でも裕太くんの言い方、回りくどい物言いは少し不快だった。

横の望も多分そう感じてる。


大人気ないぜ俺?俺は裕太くんに言っちゃう。

望もそれにかぶせる。



『俺バキバキのシスコン。』

望『あたしめっちゃブラコンだもーん!』



女子『きゃー!相思相愛!』

女子『ダメ!ダメだよ!』

女子『望ちゃんはブラコンでしょ?有名だよ?』


望は裕太くんにあっかんべー!ってして、


俺とひーちゃんの間で手を繋いで、


望『あたし!兄ちゃんと弟だーい好きだもん!

悪かったね!行こう!兄ちゃん!これからデートなの!邪魔しないで!』


裕太に見せつけるよう俺とひーちゃんとベタベタしてホームへ移動した。

女子たちも着いてきて、裕太くんが女子に好かれていない事を知った。



俺あいつに、


裕太『義兄さん!』


とか言われたら、SATSUGAIしちゃうかも知れん。

こうしてのぞひーとデートが始まった。

…デートとはなんぞや?


☆ ☆ ☆

このインターネットで何でも調べられる便利な時代でも実際に見るって言うのはやっぱり違うわけで。

横に座る我が弟は興奮しきり!


ひー『あ、かもちれっしゃだー!』


『貨物列車な。』


ひー『ねえちゃん!となりのしゃりょうにいってきてもいい?』


望『…兄ちゃんに頼んでもダメって言われるの見越してるんでしょ?

兄ちゃん、あたし付いて行くから?』


『静かにな?良い子するんだよ?』


こんな地方のローカルな四両ほどの電車にはしゃぐひーちゃん。

うちの弟まじ可愛い。


車両の連結部分に興味津々でひーちゃんは隣車両へ望と消えて行く。

はしゃぎすぎて心臓に負担ならないようにだけしなきゃだな。


望『ただいまー!』

ひー『にいちゃん!となりのしゃりょうね!せんとうしゃりょうでね?』


ひーちゃんは熱く語るよ電車の素晴らしさ。

望がニコニコしながら聞いて、


望『ほら、窓の外も見ないと?』


ひー『うん!』


やっと落ち着いた。

電車は昨日同様ターミナル駅に着く。

今日もここは賑やかだね。


ターミナル駅に着いた。

水筒のお茶をひーちゃんに飲ませてからゆっくり駅ビルを周る。

…って言っても目的はあるわけで。

望のテニス用品の小物とひーちゃんの絵本。


望のテニス用品のお店へ向かう。

何でもそうだけどスポーツってキチンとやると細々と色々なモノが必要になる。


望が選んでいる間ひーちゃんはお店の試用品のバランスボールで遊んでいた。

妙に真面目な顔してバランスボールに乗る幼児は大層可愛い。


望も決まったみたいで、リストバンドやラケットのグリップ用品とか小物を買うみたいだから俺がお金出す。


望『兄ちゃんありがとー!』


キュッて俺の腕にしがみつく望。

パッと離れて、


望『今!あたしの胸当たったでしょ!えっち!』


このガキ…。


『お前が抱きついて来て何言ってんだ?

大体胸当たりませんでしたー?肋骨?』


望『ありますー?おっぱいありますー!』


ぷんすこする望にひーちゃんがポンポンって背中叩くと、


ひー『しかたないよ。ぼくのようちえんのこもみんなそうだよ?』


望は傷付いた表情で、


望『…え?ニナちゃんとかと比べられてる?』


※ニナちゃんはひーちゃん大好きなおませな女の子。可愛いけどひーちゃんは彼女が苦手。


そして、地下の本屋さんへ寄り、ひーちゃんリクエストの『もりのなんとか屋さん』シリーズをプレゼントする。


ひー『うーん…れすとらん…おもちゃやさん…。じてんしゃやさんおもしろこわかった…。』


真剣に悩むひーちゃんを眺めながら望と話す。


望『あたしもこのシリーズ好きだったな。』


『俺も。良いよね、ほのぼのしてて動物にも暮らしがあって。』


俺2冊、望も2冊持っていて、ひーちゃんはお下がりの4冊をもう何十回も読んでいた。

一冊前にプレゼントしたんだけどもう一冊ほしいよぉ!って愛する弟の懇願に検討もせず頷くバカ兄。


悩みに悩み抜いてひーちゃんがチョイスしたのはもりのレストランともりのアイスクリーム屋さんどっちも食べ物屋さんだね?おなか減ったの?

この2冊は俺と望がふたりで一冊ずつ贈る。

支払いしながら、


望『すいません、プレゼントなので包装して下さい。』


目の前で綺麗に包装紙に包まれる絵本にひーちゃんはくりくりおめめをキラキラさせて歓喜の表情!


ひー『うれしいな!まだしょくぶつえんいってないのにもううれしいな!

にいちゃん、ねえちゃんありがとう!』


真面目な顔で、



ひー『このえほんはキレイによんで、おとうとがうまれたらにいちゃんやねえちゃんみたいにおとうとにゆずる。…ぼくもおとうとにえほんかってあげれるおにいちゃんになるよ!』


そう宣言した。

望も俺もちょっと泣きそう。

ひーちゃんはお兄さんになりたいんだ。でも流石にもう母さん的に無理じゃあ無かろうか?

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