第32話 時間の価値 ~Before 10 Days~
食堂に入るとカグヤが
その隣でカグヤが「はい、次はこれだよ」とカトラリーを
あの日、カグヤの地球行を認めた日を境に、
睡眠時間がだんだんと長くなっており、一日の大半を眠りに費やしている。
会談した時のような切れ者の雰囲気はもうない。
今まで苦労を思えば、当然だろう。
恐らく、ルナシティにカグヤを送った後、静かに息を引き取るつもりだったのではないだろうか。
彼にとって私は、邪魔者以外の何物でもなかった。
「あ、ミラさん」
自分の存在に気が付いたカグヤが声を掛けてくる。
カグヤに返事しながら、二人の向かいの席に座る。
老衰する
四六時中、
ほとんど眠っている
何をしているか尋ねても、返答は要領を得ない。
活動服を着ずに外に出ようとしたこともあってからは、カグヤは
監視プログラムで居場所を常時、把握しているそうだ。
カグヤは
そうでなければ、監視プログラムを事前に用意はしていないだろう。
地球行を決める前から、オキナを看取る覚悟をしていたのだろう。
立派だよ、本当に。
カグヤの地球行の意志は、あの日以降、確かめていない。
現在の
「オキナを、家族を残していけません」と答えるに決まっている。
そして
楽観的に見ても一年は持たない。
今、ここで息を引き取ってもおかしくない。
それまで何も言わず待とう。
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