第25話 学科試験 ~Before 60 Days~
学科試験の部屋は無人だった。
部屋の中央に机と椅子が一つずつ。
席に座ると、空間モニターが机上に現れる。
「モニターにタッチすると試験を開始します。準備が出来たらモニターをタッチしてください」
候補生が好きなタイミングで試験を始めるらしい。
注意文を読み終えた私は直ぐに、画面にタッチした。
教養試験の範囲は言語、数学、歴史、
五科目全てを合わせて、試験時間は三時間だけだ。
テキパキ解答していかなければ、時間がなくなる。
簡単に解ける問題から始めよう。
倫理は規則の内容を答えるだけだ。
暗記していれば直ぐに解答できる。
言語は共通語の文法と読解の問題だ。
自動翻訳ソフトが普及しているので、会話までは試験問題に出されない。
公式文章が読める能力があるかの確認だ。時間はかからない。
歴史は、
オキナの名前が出ないのは、意図的なのだろう。
能力の傾向を含む
最も試験範囲が広く、予想外の問題が多い。
だけど、けっして解けない問題ではない。
こちらの知的水準より、少し上の問題が設定されている。
まるで頭の中を
数学の計算問題で、思わず手を止めてしまった。
問題は、施設の補強に使用する資材の量を計算する内容だった。
昔、間違えた計算を元に、
あの担当官を苦手と思うようになったのも、その時からだ。
解答を記入し、次の問題に移る。
そこで、また手が止まった。
また、過去にお小言を貰った内容だ。
結局、過去に一度、失敗したことを全部、問題にしてあった。
やっぱり、あの担当官は苦手だ。
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