第18話 会談 その2 ~Before 62 Days~
ホシクズの有用性が発見されたばかりの頃の争い。
ホシクズそのもの保有量で国力を示す蛮行だ。
争いは過激化し、
それらの国々を相手に、
「それでは歴史の逆戻りだ。まったく無意味な愚行だ」
長い闘争の果て、たどり着いたのが延命策とは、
「連合国は残された資源を巡って派閥抗争、
「一つ、申し上げます」
ミラ・サンフィールドが顔を上げ、
「現在、地球の各生存圏を統治するのは連合国ではありません」
「なに」
「現在は
地球の使者の言葉を聞いた
顔をわずかに上向かせ、歯を食いしばる。
使者の言葉を何度も噛みしめ
やがて鼻から静かに息を出すと、眼を開き、使者に視線を向けて、問いかけた。
「評議会が武力で権力を
「はい」
使者の返答に、
自分と、仲間達が生涯を費やしてきた事業が破滅に向かっていることを悟った。
「月の
「誰の言葉だ」
「アミークス評議会議長です。十二星だったものしか知らないと」
密約を知っている人物の名前を聞き、
密約を知らないはずの名前が出れば、現実を拒むことができたかもしれない。
「かつての連合国統治下であれば、地球に帰還すればあなたといえども、ルナシティ崩壊の責任を取らされ、処刑される危険もあったでしょう。ですが、評議会があなた処断することはありえません」
だがら直感的に頼った
「
賢人は使者を鋭い眼光で見つめる。
その目に敵意はない。
ただ真実を見極めようとする意志だけが宿っていた。
「このまま、月でお嬢様と二人で過ごすおつもりでしょうか。
この老人は未来を諦めていない、ミラ・サンフィールドは悟った。
自身が背負ってきた責任を果たそうとする意志を持っている。
それはカグヤを見ればわかる。
そうでなければ、あんな真直ぐな子に育つはずがない。
育てられるはずがない。
情と理屈で訴えろ。
目の前にいるのは、敵ではない。
敬愛すべき偉人であり、尊敬すべき人間だ。
「どうか、その英知を今一度、人類の未来に貢献させてくだい」
再びミラ・サンフィールド《使者》が頭を垂れる。
沈黙が場を支配した。
空調設備の音だけが室内を満す時間が流れる。
「顔を上げよ、ミラ・サンフィールド」
視線を
促されるままに座席に座ると、向かいの席に
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます