第7話 マッチングアプリ始動
適当すぎるプロフィールを整えて、勢い込んだ私はそのままアプリの機能を触ってみた。
前回まではホーム画面に表示される人のプロフィールを眺めたり、いいねをしてくれる人のホームに飛んでどんな人かを見るくらいであったので検索条件を入力する便利さにびっくりした。
いやぁ、普通は一番に検索条件入れてみたりするんでしょうが……。
どうせ検索していいねを残すなら、できるだけお付き合いを考えられるような人に残したいなぁ。
まだ「結婚」というものが具体的に考えられない……というか、夢物語もいいところ。先を急ぐより、マイペースに一歩ずつ!
そう心に決めて、でももしその人と結婚ってことになったら……!?
なぁんて、それこそまだ何も始まっていないのに妄想だけはしてしまう。こちとらプロの喪女である。
でも、実際問題知り合って交際期間を経て結婚まではどう考えても一年はかかるだろう。スローな自分のペースで数ヶ月で決断はまぁ、ないよなぁ。
そう考えると、数を打って何人もと平行でやり取りできる器用さも気力も体力もない私は「いいね」をする段階である程度絞り込むように決めた。
検索段階で絞り込んでしまうと数は少なくなってしまうけど、そこは自分の性格を考えれば致し方ない。ここまで散々婚活をしてきた上で、頑張りすぎても空回りすることは目に見えているのだ。
そして、この時もう一つ決めたことがあった。それは、
今回マッチングして会ってみて駄目ならもう今後一切の婚活は辞めよう。
私にはもうのんびりしていられるだけの若さや時間もないのだ。
というのも、何よりも昔からずっと抱いている夢があったからである。その実現のためにも身の振り方をそろそろしっかりと決めないといけない。
そう。私の夢とは“自分の家を持つこと”。
小学生の頃から、職業や容姿や家族についての夢を一切持ったことのない私のたった一つ、ずっと変わらない夢、マイホーム!!
実際この頃は住んでいる近辺で何となく土地や中古住宅を眺めたり、工務店のパンフレットの請求なんかも始めていた。
家を買うということは、ずっとそこに住むということ。
そうなればモテない今よりもっと出会いも限られてくるだろう。
だから、今回マッチングしても駄目ならキッパリサッパリ余生をお一人様ライフで生きるためにシフトチェンジしよう。婚活を一旦スッパリやめたときに、ずっと独りで生きていく覚悟も出来ていた。
そう決意して、入力したお相手の条件は、
・年収は自分以上
・年齢は6歳上まで(年下は含まない)
・関西付近から日帰りで行ける
この3点!
自分が手取りで18万円くらいという、多くはないけど独りで暮らすには贅沢しなければ困らない金額というラインであるので自分と同じくらいあればいいかなぁくらいの感覚。
自由になるお金の中から工夫して楽しいことを探すのが好きなので、逆にたくさんお金がある環境は少し怖い(笑)
年齢はあまり上すぎると、一般的に女性の方が長生きするので後々のことを考えれば先立たれた後の時間が長くなると淋しいだろうなぁ、と。
年下は詐欺にあってるんじゃ……??と自分が不安になるので一旦除外。
住んでいる地方は、実家の母が独り暮らしなので遠方になるとちょくちょく顔を出せなくなることと、やはり住む土地が大きく離れると文化や習慣が違うのが気になるという点から決めた。
あとはプロフィールの紹介文や趣味、好きなものを参考にして最終的にプロフィール画像で雰囲気を確認していく。
これでぐぐっと範囲が狭まり、この時私は3人の人にいいねをしてみた。
一人からはいいねが返ってこなかったので何も起こらず。
一人はすぐにいいねが返ってきたものの、やたら距離感がおかしい!
そしてもう一人が、後に結婚する事となった主人であった。
私は強運にも、この初めてのいいねで結婚相手と繋がることが出来たのが、マッチングアプリはここからもまだ先が長いのであった……。
36歳喪女がマッチングアプリで結婚した話 鴨野 @anco69
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。36歳喪女がマッチングアプリで結婚した話の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
不文集/石嶺 経
★127 エッセイ・ノンフィクション 連載中 1,101話
飯!メシ!めし!/鴻上ヒロ
★3 エッセイ・ノンフィクション 連載中 1話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます