わたしの愛し子へ
末咲(まつさき)
わたしの愛し子へ
小鳥はかくも軽いのか
ヒナから育てた愛鳥が亡くなったあの日
昨晩は消灯後に珍しく一声鳴いた
ピロリ、と美しい声だった
まるで陽射しを受けるビー玉のような
まるで氷を沈めたソーダ水のような
別れを告げるかのような綺麗な声
嗚呼、
昨日まで私の手の中で眠っていた
ずっしりとした重さとぬくもりが
すっかり枯れ草のように軽くなって
魂とはあんなにも重いのかと
泣きじゃくりながら思った
人間の束縛から大空へ旅立った君へ
そこはあたたかいですか
美味しい木の実はたくさんありますか
人見知りしない子だから
すぐ友だちができただろうね
甘えん坊な君だからそれなら安心だ
君のおかげで私は生き物を好きになれた
君と会えてよかった
君にとって不甲斐ない飼い主だったけど
涙を零す私を不思議そうに見上げた君が
放鳥のたび真っ先に私に駆け寄り肩までよじ登る君が
ググググと甘えた声で頭を掻いてと催促する君が
私は今でも
何年経っても
大好きだよ
仮に新たな小鳥を迎えても
その子は君ではない別の愛し子だから
家族は一期一会
死んだら二度と会えないからこそ
君と会えてよかった
もし君が生まれ変わっていたとしたら
どうか幸せに健やかでいてくださいと
ずっとずっと心から祈り続ける
わたしの愛し子へ 末咲(まつさき) @suenisaku315
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