主人公は、薄幸のヒロイン。
母親が、ものすごい毒親で。
ずっと苦しんできました。
ヒロインは、最終的に、ひどい……本当にひどい状況で、進退窮まり、厄介払いをするかのように、とある男性のもとに嫁がされます。
拒否権はありません。
また、ヒーローも、とても哀しい宿命を背負っています。
ぎゅっと殻にこもるようなヒーロー。
ツンツンのヒーローに、読者はハラハラし、嫁いでも、離れた毒親にまだ心が囚われている主人公を、応援したくてたまらなくなるでしょう。
そんな二人が、ゆっくり心を通わせ、お互いがお互いを変えてゆく、美しい瞬間を、読者は目撃する事になります。
そう、これは、運命の恋。
間違いなく、運命の恋です。
文章は華麗にして優美。園芸のシーンも丁寧に描かれ、楽しいです。
ぜひご一読を!
誰かに言われるがままに、誰かの言いなりに、そうして生きてきた。そんな風に思えてならない主人公ウルリーケと、傷つき続けてきたスヴェンとか出会い、そして彼らの時間は動き始める。
それまで凍っていたものが、ゆっくりと融けていくかのように。
これはある意味で、彼らの再生の物語であったように思えてならないのです。
誰かの思惑のまま、個人を見てもらえることのないまま、誰かを理由にして生きるしかない。その生き方はいっそ哀れでもある。
けれど壁が崩れ、その向こうにあったものが見えることで、彼らは共に前へと進んでいく。
もちろんまだ問題は山積みなのでしょう。
それでも彼らの行く末に幸あれと、そう願ってやまないのです。
ぜひ、ご一読ください。