第3話 謙譲語II

 謙譲語II(丁重語とも)とは、自分側の行為・物事などを、話を聞く相手や文章の読み手を立てて丁重に述べる語です。その文を伝える話し相手を立てます。



動詞を謙譲語IIにする場合

 謙譲語IIは特定形のみで語数も限られています。また単独ではなく丁寧語「〜ます」を伴った形で使われます。

 そもそも尊敬語であれ、謙譲語であれ、通常より改まった言い方であるため、丁寧語を伴って使用されることが多いのです。

 ただし、尊敬語と謙譲語Iはそれぞれ文中の主体・対象に敬意を示す表現であり、その文を伝える相手に気を使わなくてよい場合には丁寧語を伴わなくてよいのです。

 謙譲語IIは話し相手に対する敬意を示すものなので、基本的に「〜ます」を伴った丁寧体で発話されることになります。



特定形の例

 行く・来る ⇒ 参る・参ります

 言う ⇒ 申す・申します

 する ⇒ 致す・致します

 いる ⇒ おる・おります

 知る・思う ⇒ 存じる・存じます



一般形の例外

★お〜いたす ⇒ 謙譲語I「お〜する」との複合

      謙譲語Iの一般形である「お(ご)〜する」の「する」を謙譲語II「いたす」にした「お(ご)〜いたす」という表現があります。例えば「お届けする」を「お届けいたします」とするような形です。これは届けるという行為の相手として謙譲語I「お(ご)〜する」で立てたうえで、同じ相手を話し相手としての側面でも謙譲語II「いたす」で立てた表現で、「お〜する」だけよりも改まり度合いの高い表現です。

      謙譲語Iを尊敬語化する「お(ご)〜なさる」より抵抗感が少ないのは、大きく括って「謙譲語」同士だからです。





名詞そのものを謙譲語IIとするには

 謙譲語Iは「相手に向かうもの」という制限があるため、その制限がなく自分自身を低めて言う表現はすべて謙譲語IIとなります。


 「愚見」「小社」「拙著」「弊社」「寸志」「卑見」「粗品」のように「愚」「小」「拙」「弊」「寸」「卑」「粗」など、その価値を下げるような接頭辞を付けて謙譲語IIとして使うものがあります。


 これらは主に書き言葉で用いるものなので、改まった文章を読み慣れて身につけていきましょう。





最後に

 今回は「謙譲語II」について述べました。

 前回の「謙譲語I」との違いは、動作の対象を立てるか、話し相手を立てるかの違いです。

 「伺う」と「参る」が顕著な例なので、きっちり区別できるようになりましょう。




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https://kakuyomu.jp/works/1177354054889417588/episodes/1177354054892614846




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