第2話 謙譲語I
謙譲語Iとは、自分側から相手側または第三者に向かう行為・物事などについて、その行為の「向かう先の人物」を立てて述べる語です。文中の行為の相手を立てます。
動詞を謙譲語Iにする場合
動詞の謙譲語Iには「伺う」「申し上げる」のように動詞そのものを謙譲の形に言い換える「特定形」と、「お(ご)〜する」のようにさまざまな語に適用できる「一般形」を付加する場合があります。
特定形の例
行く・訪ねる・尋ねる・聞く ⇒ 伺う
言う ⇒ 申し上げる
知る・知っている ⇒ 存じ上げる
あげる(やる)・与える ⇒ 差し上げる
もらう ⇒ 頂く
見る ⇒ 拝見する
見せる ⇒ お目に掛ける・ご覧に入れる
会う ⇒ お目に掛かる
借りる ⇒ 拝借する
一般形の例
★お(ご)〜する ⇒ お聞きする、お会いする、お届けする、ご案内する
★お(ご)〜申し上げる ⇒ お聞き申し上げる、お会い申し上げる、お届け申し上げる、ご案内申し上げる
述語の向かう先を立てる表現なので、自分側の行為の向かう先がある動詞に限られます。
届けるや案内するは、届け先や案内する相手が存在するのでOKですが、「食べる」は敬うべき相手が存在しないので「お食べする」「お食べ申し上げる」とはなりません。もし相手がいるとすれば、食べられる存在ということになってしまいます。
★〜ていただく、お(ご)〜いただく ⇒ 読んでいただく、お読みいただく、ご指導いただく
相手の行為が自分の利益になってありがたいことを表現する「〜してくれる」「〜してもらう」という言葉があります。このうち「〜してくれる」の主語は相手なので、敬語に改めると尊敬語の「〜してくださる・お(ご)〜くださる」になります。
「〜してもらう」は恩恵を受ける主語が自分なので敬語表現では謙譲語Iとなります。
「もらう」の謙譲語Iの特定形は「いただく」なので、「〜ていただく」「お(ご)〜いただく」となります。
★お(ご)〜願う ⇒ お集まり願う、ご遠慮願う
「〜してもらう」意の特別な表現です。
★お(ご)〜にあずかる ⇒ お招きにあずかる、ご紹介にあずかる
受け身を表す特別な表現です。
なお、動詞以外の述語は謙譲語I化できません。立てるべき相手の行為や状態ではないためです。
名詞そのものを謙譲語Iとするには
自分側から相手側に向かう名詞に「お(ご)」を付加したものは謙譲語Iとみなされます。
「(先方への)お手紙」「お断り」「おみそれ」「お見舞い」「(先方への)ご説明」「ご案内」「ご相談」などです。これらは「する動詞」の語幹に「お(ご)」を付けたものともいえます。
このほか「御(おん)礼」「拝顔」「拝眉」のように接頭辞「御(おん)」「拝」の付いた謙譲語Iの名詞もあります。
接尾辞「(私)ども・(私)儀・(私)こと・(私)め」などでこちら側がへりくだります。
最後に
今回は「謙譲語I」でした。
こちらから相手にする行為で、その相手を立てる場合に用いる敬語の分類です。
「謙譲語II」との区別がつきづらいと思いますので、次話で「謙譲語II」について述べます。
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948.敬語篇:謙譲語について
https://kakuyomu.jp/works/1177354054889417588/episodes/1177354054892614846
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