行き着くところ

尾八原ジュージ

行き着くところ

 心霊スポットにお守り持って行くなんて邪道っしょとふかす寺井には、レジェンドと仰ぐ男がいる。同じ高校の親しい先輩だそうだが、地元の心霊スポットというスポットを荒らしまくって伝説になったという。

 その先輩は今どうしているかというと、突然死したとか奇病にかかったとかいうこともなく、すっかり落ち着いて地元で就職し、スーツにネクタイをカッチリ締めて真面目に働いているらしい。

 それはいいことだけどレジェンドの行く末としてはどうなの、と失礼なことを尋ねると、寺井はいやぁとよくわからない顔をする。

「あれはあれで、行き着くとこに行き着いたって感じ」

 何でも昨年、笑顔のレジェンドに「これ、うちの嫁と娘」と見せてもらった写真には、いかにもな藁人形が大小二つ写っているだけだったという。

「それがどうも冗談とかじゃなさそうなんだよね。もう何度も家に遊びに来いって誘われてんだけど、さすがに開けちゃいけない扉を開けちゃう気がして行けねーんだわ。ははは」

 一頻り話した後、寺井は右足を引摺りながら帰っていく。その足に下半身のない女がしがみついているが、彼にはそれが見えないようだ。

 どうやら寺井も、行き着くところに行き着いたらしい。

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行き着くところ 尾八原ジュージ @zi-yon

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