男子高校生の頭の中

星光かける

襲撃者


 授業中の教室。教室の中では筆を走らせる音しか聞こえない。


 俺の座席は前のドアのすぐそば。俺は問題を解き終わってシャーペンを置く。両肘を机につけ、口が隠れるくらいの高さで手を組み考え出す。


 今、教室に襲撃者が入ってきたらと。



    *    *    *



 バンッッッ!!!


「手を挙げて全員動くな!」


 教室の中に銀行強盗のような被り物を被った男が包丁を持って入って来た。教室の中は悲鳴で溢れている。ふんっ。男どもも大声をあげているぞ。おいおい、泣きそうなやつもいるぜ。情けないなぁ。


「うるさいぞ!黙れ!こいつがどうなってもいいのか!」


 俺は腕を掴まれて無理やり立たされ、包丁を突きつけられる。その瞬間、クラスメイトは静かになる。ふむ、一応怖がるふりはしておくか。


「ひっ。た、頼むから助けてくれー」

「そんな!なり君を離して!」


 幼馴染の結衣が心配してくれるが、襲撃者はそんな言葉にはもちろん耳をかさない。俺は結衣に見えるように少し笑って見せる。


 先生も俺を助けようとへっぴり腰で前に出てくる。


「こ、子供を人質にとって情けなくはないのか!」

「うるせぇ!来るな!殺されてぇのか!」


 襲撃者はそう言った瞬間包丁を先生に向けるが、その隙を俺は見逃さない。襲撃者の腕を掴んで投げ飛ばし、すぐさま上に乗って拘束する。男は暴れるが、拘束はびくともしない。


「くそっ!お前、ビビってたんじゃないのかよ!」

「演技してチャンスを狙ってたんだよ」


 ふん。こんなただの高校生の演技に騙されるなんてまだまだだな。


「「「「きゃー!かっこいいーー!」」」」

「ありがとう!お前はクラスのヒーローだ!」


 はっはっは。そうだとも!



    *    *    *



「そうだな。であるからして、なり。この問題の答えは」

「……5です」

「ふむ、今回の問題は1から4までしか答えはないのだがな」


 情けなく泣きそうになった。



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男子高校生の頭の中 星光かける @kakeru_0512

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