第3話アトラス
森を抜けるため歩き始めて少し時間がたった。
「さっきの機械だけどあれはなにかの生き物?」と改めてムーに質問した。
「生き物ではないね、マキーナと呼ばれる半分機械生命体のような種族がいるんだ。昔、そのマキーナが作った動物型ゴーレムがさっきの機械だね」
半分機械の生命体マキーナか、ファンタジーみたいな種族がいるもんだなと考える。
「軽くこの世界の種族について説明しておこうか。この世界の大多数を占める種族アンス、神メナスを主に信仰していて君に一番近い見た目の種族だね。龍のうろこがある種族のドラコーン、耳が長く森の奥でひっそりと住まう森の守り人ヒューレ、そして今説明したマキーナで全部だよ。今向かっている先はこの森を抜けた先にあるマキーナの住む中規模程度の街のクラッチというところだからね~。」
「僕はその町に行っても大丈夫なの?ファンタジーなら見た目の違いで迫害されたりしてるのをよく見るけど…」
「ふぁんたじーってのは良くわからないけど、クラッチにいるマキーナは基本君たちと同じように住んでいるし、アンスたちもよく貿易やら観光やらで来てるからそんなに君は目立たないと思うけど、ちょっと君の服装じゃ浮くかな」
「そうなんだ。」と少し安心しつつ返事をする。
マキーナの街へ着いたら服も調達するかとぼそぼそ独り言を言いながら森を抜けるため、獣道を歩き続ける。
それよりも佳子はどこへ行ったんだろうとムーの言葉を頭の片隅に置きながら考える。一緒に来てたってムーが言ってたけどどこかへ歩いて行った足跡もなかったし、周り見てもいなかったよな。もしかしてここじゃないどこかに転移したのかも。ムーはあいまいな返事しか返さないからイマイチ信用にかけるし、かと言って頼る相手もいないからな。頼るって言っても誰もいなかったし。そういえばマキーナの街へ行って言葉は通じるのだろうか?
「あのさムー、アトラスの人達に僕の言葉って通じるの?」とふと思い付いた疑問をムーに投げかける。
「基本的に通じるよ。アトラス語を君の知ってる言語に変換するスキルが身についてるはずだからね。あとね君独自のスキルがついてると思うよ、僕が会った地球から来た人達はみんなスキル持ってたから。ステータスを開いてみて。ステータスていったら出ると思うから」
「ステータス」と立ち止まり唱えると
あなたのステータス
レベル1
体力B 筋力A 防御C 魔法力E 速度B
スキル 【フトゥールム】少し先の未来が見える。レベル1 0,1秒
【言語変化】 【剣創造】……
言語変化これのことかな。なんだこれフトゥールム?未来が見えるようになるのか、どうやって使うんだろ、剣創造?これも謎だなとりあえず使ってみるか
「言語がわかるようになるスキルあったでしょ」とムーが確認するようこっちを向きながらに聞いてくる。
「うんあったよ。言語変化っていうのが」と僕はステータスを確認して答えた。
「それで言語についてはわかると思うから。あと君のスキルは何だった?」
「なんか二つあったんだ。一つが【フトゥールム】少し先の未来が見えるようになるらしい。でもう一つが【武器創造】なんだけど良く分からないよ。」
「二つあるんだね君は。【武器創造】はわかるけど【フトゥールム】ってのは良く分からないね。」
「じゃあ【武器創造】の説明してくれない?」
「分かった。そのスキルは武器を作ることに特化したもので自分の創造した武器を作ることができるんだ。だけど自分のレベルに合わないものをつくることはできないよ。最初に作れるのはせいぜい木剣程度じゃないかな、まあ実際に作ってみなよ武器創造と念じると考えてるものができると思うから。」と簡単な説明をしてくれる。
武器創造と念じるだけで武器を作ったりできるのか便利なスキルぽいなと思いつつ、自分の思う木剣を想像しながら武器創造と念じてみる。すると手の中にだんだん形ができてきて反りがある刃の作りのつばはない形の剣ができた。木剣と言われて思い付くのはやっぱり木刀だった。作った木刀を確認するように振ってみた。自分で作ったものだからか、手によくなじむ。そうして確認していると
「とりあえず成功したみたいだね。へぇ、不思議な形の剣だね。」と興味ありげに僕が握っている木刀を眺めている。
「これは木刀と言って刀を木で模したものだと思うよ。僕の住んでたところでは少し有名だったんだよ、だからこれしか思い付かなかったんだ。」と木刀をムーの前に見えやすいように出して説明するとふーんと言いながら僕の作った木刀の話を聞くムー。
「次の【フトゥールム】はわからないから使ってみないとわからないね。」
次はフトゥールムを使ってみるしかないね。ぱっと説明をみるとそこまで危なさそうじゃないから大丈夫だとおもうけど。そう思いながら手に持っていた木刀をおもむろに地面に置こうとすると木刀は手から離れると消えた。びっくりしていると
「【武器創造】は手から離れたり誰かに奪われそうになったら勝手に消えるから、また作り直すことが必要だね。けど一度作ったものは次はすぐにできるからタイムロスなどはないよ。」と先ほど起きた出来事を伝え忘れていたのをごまかすように補足するムー。
君と僕と剣と @xeno_0828
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