第二章
第8話
●月●日
友達とルームシェアを始めてから歯を磨かなくなった。それまでは毎日歯を磨いていた。さらには夜中にまんじゅうやアイスを食べていた。夏のアイスは最高である。暑い熱帯夜に、一度眠ってからからになったのどに冷たいそして濃厚なバニラが滑り落ち、溶けるとくう~っと清涼感がある。そしてなんとなく夜中にアイスを食べるといけないのに食べているのだと背徳感がある。まんじゅうもそうである。昔の高校生の時に行った修学旅行の夜を思い出される。修学旅行、夜中まで起きてただただ友達とまんじゅうをむさぼっていた、思い出が脳裏によみがえる。
いい修学旅行だった。ただ、旅行先のご当地メニューをひたすら食べまくった思い出しか残っていないけれど。大人になってからその当時の友達と連絡を少し取っていた。その友達が一言。
「あの頃はいい時代だったよね」
「そうだね」
「高校時代って、なんだかんだいいつつも恵まれていたよな。文句ばっかり言っていたけど。何よりも生活とかお金とか子供とか一切心配されることなく、勉強さえしていれば、えらいえらいと褒められたものなあ」
「そうだよね~。生活とかお金の心配をしなくてよかったものね」
高校時代の友達は、はあ~、とため息をつきながら、あの頃に戻りたいとつぶやいている。
そんないい時代だった昔のことを思い出しながら夜中にまんじゅうを食べ、チョコレートを飲み込み、アイスを愛する。
ここで一句
夏の夜 まんじゅうの味は 罪の味
アイスクリーム 一口食べれば 背徳の
5年ほどだろうか、夜中におかしをばくばくと食べていると、歯に冷たい水が染みるようになった。たまらなくなって思い切り歯を磨くと痛みが和らいだ。
そこで歯を磨くように習慣をつければいいのだが、痛みを忘れるようになるとまた歯を磨かなくなった。
すると今度は飛び上がるほど歯が痛み始めた。息も魚が腐ったような生ゴミみたいに臭い。歯が痛くて痛くて思わず歯医者に行くことにした。
歯医者を調べて近くにいい歯医者があるのを見つけた。電話をかけると
「予約をしてから来てください」
と言われた。
「土曜日空いていますか」
と聞く。
「じゃあ土曜日お待ちしております」
土曜日が待ち遠しかった。土曜日になると、すぐさま歯医者に行く。
歯医者に行き、受付の人に
「予約していた●という者ですけれども」
受付の人は、はいはいと言うと、
「それではこちらの用紙に記入してください」
記入が終わると、すごく顔の整った高身長の男の人に
「こちらへどうぞ」
と言われた。椅子に座ろうとすると、
「先にレントゲンを取りますのでこっちに来てください」
レントゲンを撮ると、改めて椅子に座る。
「それでは口を大きく開けてくださいね」
歯医者のイケメンの先生が言う。
「結構虫歯進行していますね」
「はあ」
「治療しましょう」
先生は注射器を取り出すと歯肉のあたりに打つ。
「しばらく待っていてくださいね」
そのまま先生は他の患者の治療に当たった。しばらく待っていると、先生がまたやってきた。
「それでは歯を削ります。痛かったら右手をあげてください」
ぎゅいーん。ぎゅいーん。
ぎゃあ。痛い痛い痛い。
ずきんずきんとした痛みが神経に響き渡る。
「それでは神経を取ります。本当に痛いですから、痛かったら右手をあげてください。麻酔を追加で打ちます」
痛い痛い痛い。思わず右手を挙げた。
先生に麻酔を追加してもらった。なんとか治療が終わる。
まったく偉い目にあった。歯が痛くて、とほほと思ったら、
「あと何回か治療に来てください」
と言われた。
会計のところでなんと3000円くらいとられた。お金がなくて1円単位で生きている身としてはほんとうに身を切っている。3000円の出費は痛い。さらにまだ何回か治療にいかなくちゃいけないと思うと、本当にいやだなあと思った。歯をしっかりと磨こうと改めて思った。
帰り道薬局に行って、歯磨き粉と歯ブラシを買う。家に帰ると歯を磨いた。
その後、何回か歯医者に通ったが、なかなか穴を開けた歯にふたをしてくれない。お金も1回で500円も取られるし通うのも大変。人がいるところに行くと気を遣うから疲れる。
結局歯医者は途中でいかなくなった。今でも歯に穴が空いている。毎日歯にものが詰まる詰まる。友達に相談したら、
「歯に詰め物をするまでは歯医者に行った方がいいよ。そこから菌が入るから」
「そうだね。僕もそう思う」
やっぱり・・・・・・今度歯に詰め物をしてもらいに歯医者に行こうと思う。
病気になったらお金も時間も取られる。健康がいちばん!
今回の件を通して小学校の時に習った毎日歯を磨こう、毎日歯を磨かないと虫歯になってえらい目に遭うというのは本当だなとも思った。
毎日歯を磨いたほうがいいと思う! 虫歯になったら痛いし、お金も掛かるし、時間も掛かる。口も臭くなるから。
一日三分歯磨き歯磨き、歯磨きのお時間
ごしごしごしのきゅっきゅっきゅ。
一日三分歯磨き歯磨き、歯磨きのお時間
ごしごしごしのきゅっきゅっきゅ。
ごくごくごくのがらがらっぺ。
ごくごくごくのがらがらっぺ。
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