本作の素晴らしい点は多々あるのだが、まずは何より犬の描写を褒め称えたい。
こちらの言葉をよく理解している聡明さ。それでいて何でも口に含んでしまう間抜けさ。シャンプーを嫌がる臆病さも、率先して家族を守らんとする勇敢さも、どれもこれも、身に覚えがあるものばかりだった。
ファンタジー作品と言えども、変わらぬものはある。
それは、犬に限った話ではない。
本作は細部に至るまで地に足のついた描写ばかりであり、その丁寧に紡がれる言葉の節々からは、家族への愛情が滲み出る。
そして、ふとした瞬間にポロリと涙がこぼれ落ちるのだ。
この、スーッと心に染み渡るような温もりに満ちた作品に出会えたことを感謝したい。
ああ、イッヌ……イッヌに会いたい……
高校卒業と同時に独り身(&愛犬ショコラ)になった主人公が家と共に異世界に転移する内容です。
愛犬ショコラは老犬ながらも主人公に懐いていてとても愛らしいです。
某ラジオの宇多丸さん流に言うならこれだけで五億点です。
家ごと転生、異世界、チート……と、Web小説で良くあるテーマをこれでもかと内包しています。
内容も読みやすいのに、後にはしっかり何かが残るのが上手いです。
さりげなく敷かれた謎も絶妙で、まだ序盤と思いますが、先が楽しみでもっと読みたいです。
上手く伝えられないのでレビューもう少し書き直すかもしれませんが、とにかく良いです。