第4話

俺には幼馴染がいる…名前は冬馬


昔から小さくて弱くて泣き虫な奴でずっと俺の後ろにいた


「れーや!かけっこできょーそーしよ!」


「おう!いいぜ!」


「よーい……ドン!」


「あっ……」


「……はあ、またこけたのか…」


「う…うう!…れーや…いたいよお!」


「もー、しかたないな…おれがおぶっていえまでつれてってやるよ」


「ほんとに!」


「ほら…はやくしろ」


「わーい!れーやごーはっしーん!」


小学生の頃は基本的にずっと俺以外の人間とは関わらずに過ごしていた


「玲也!今日あのゲームしたい!」


「あー…今日は校庭で慶太達とサッカーする約束があるから無理」


「そっか…わかった……」


「冬馬もやろーぜ、サッカー」


「やだよ…僕…運動苦手だし…慶太くん達とは話したことないし」


「いいからいいから…いくぞ!」


「うわーー」


中学の頃は俺以外の奴とも普通に話せる様になって部活にも所属する様になった


「玲也!今日リフティング10回出来る様になったんだよ!凄いでしょ!」


「やるじゃん…まあ、まだ俺には程遠いがな」


「もうっ!玲也に勝てるワケないじゃん!」


冬馬が人見知りせず明るくなったのは嬉しい気持ちもあるが少し寂しい気持ちもあった


けど冬馬が笑顔でいれるならなんでも良いと思った


「冬馬…お前最近どうした…暗くね?」


「う、うん?…そーかな?」


「何年一緒に居ると思ってんだ、マジどーした」


「……んーん…なんでもないよ…ほんとに大丈夫だよ」


嘘だな…こいつは辛くて我慢してる時心配させまいと無理矢理笑顔を作るクセがある


その後しばらく冬馬を尾行した…すぐに原因が分かった



冬馬がいじめられてた


俺はすぐに冬馬に性器を舐めさせていた女の首を掴み行為を辞めさせた


「お前…何やってんだ…ああ?」


「ちょ…玲也〜ジョーダンじゃん!ジョーダン!」

 

この女……本当はぶっ飛ばしてやりたかったが相手は女…しかも俺もこれ以上学校で問題起こすと色々やべえ事になる…


「…ッチ…おい…二度冬馬に近寄んじゃねえ…」


「お、おっけー」


「ほらっ…冬馬いくぞ」


「……」


ーーー


「冬馬…なんであんな事やられてるって言わなかった?」


「…………玲也に迷惑かけたくなかった…」


「は?」


「いつも僕…玲也に頼りっぱなしだったから…もう中学生だし…その…」


「はあーーーー!馬鹿じゃねえの!」


「確かに頼りっぱなしは駄目だけどよ、辛い事を我慢しなきゃならねー理由にはならねえぞ」


「辛い事や悩み事があったら遠慮なく言えよ、唯一の幼馴染なんだからよ」


「う、うん…そーだよね…玲也…ありがと」


まあ…色々あったが俺らも高校に上がった…それと同時に新たな問題が増えた


「冬馬くんっ!」


「ちょっと…奏、皆見てる前で抱きつかないでよ…恥ずかしい」


こいつだ


九十九 奏…サッカー部のエース…学校一の人気者で悔しいが男の俺から見てもイケメンだ


こいつはやたらと冬馬と距離が近い…それも異常な程に…


二人はかなり仲が良く学校ではずっと一緒にいる…仲が良いのは良い事だが仲が良すぎる…学校では二人は付き合ってるとか言う噂やBL好きの女はよく二人についての妄想話をしている


クソッ…なんかイラつく…


俺は何故かイラついていた…理由は自分でもわからない…


「玲也」


「あ?」


奏が話しかけてきた


「冬馬の事色々聞きたくてさ、幼馴染なんでしょ?」


「は?…お前に教える事なんてねーよ」


「……嫉妬してるの?僕と冬馬くんが仲が良いから」


「はあ?意味わからん、ふざけた事ぬかしてんじゃねえぞ」


「ふふ…まあ、いいや…それじゃあね…玲也」


マジで意味わかんねえ…アイツ


嫉妬とかするワケねえ……だろ


ーーー


冬馬に彼女が出来た…びっくりだ


名前は三上 由良と言うらしい…顔は…まあ可愛い方…スタイルは…細いだけで俺から見たらあまり魅力は感じない


まあ、冬馬も高校生だし…彼女の一人や二人はな


ぷぷっ…奏が死んだ目をしてやがる…ざまあみろホモ野郎


そして月日は流れ修学旅行…俺以外の全員楽しみにしていたが最悪な事が起きた


飛行機が墜落…目を覚ましたらこの世の物とは思えない悲惨な状況だった、海には無数の死体…中には身体の一部が無い奴もいる


マジかよ………俺以外全員死……っ!冬馬!聖奈!


俺はすぐに周りを見渡した


聖奈はすぐに見つかった………うん、大丈夫だな…ただ気絶してるだけだな…身体の欠損も無いし顔も穏やかだ


後は冬馬……も無事っぽいな…奏が普通の表情で冬馬をおぶってこっちに歩いて来てる


「冬馬は?」


「無事だよ、どこにも怪我はない…奇跡だよ、如月ちゃんは?」


「同じ…大丈夫だ」


「そっか、良かった」


「他に生き残り居んの?」


「一通り見たけど生き残りは両手の指で足りるくらいしか…」


「まじか…」


「まあ、でも今時遭難しても救助までそんなかからないはず…それまで気を確かに持とう」


「だな」


それからしばらくして、聖奈が目を覚まし冬馬も目を覚ました…そして生き残りを集めこれからの行動を話し合った


一日目は特に問題がなく終わった…二日目も順調に食材などを集め集合場所に着いた


「玲也〜おんぶ〜」


「はいはい」


聖奈…相変わらず俺と京華しか居ない状況だとゆるいな


幼さは残るものの目鼻立ちはしっかりしていてかなり整っている…髪型は今時のJKらしくハーフアップ、黒のリップピアスを付けていて口元がセクシーだ…マジかわ


「ワタシも!抱っこして!」


「じゃあ、材料持て」


「やだ!重いもん!」


京華は聖奈の親友…幼馴染らしい、パッチリとした目で髪型はタッセルボブ…顔がかなり小さくて丸顔、笑顔がめっちゃ可愛い


聖奈はちょっと嫉妬深く独占欲が強いが京華ならキスから上以外は大丈夫らしい 


「おし、着いた…ちょい暇だからそこらへんぶらついてるわ」


「わかった、遠くに行く場合は必ず教えてね」


ーーー


…一人でこんな無人島で歩いてるとなんか楽しいな…昔を思い出す、小さい頃はよく冬馬と色んな場所を探検したな…

 

 


はあ…なんもねえ、つまんねーし帰る……あれ…冬馬!


なんであいつ一人で……しかも顔もやつれてるし歩き方も……つか足引きずってね? 


しかも…なんで崖の方に歩いてんだ…前見えてねえのか? 

 

や、やべえ!まじでやべえ!


俺はダッシュで冬馬の方に向かいギリギリの所でなんとか助ける事が出来た


その後応急処置済ませ冬馬から事情を聞いた……俺はかなり怒り、今すぐあのクズ共をぶん殴りたい衝動に駆られた


俺は冬馬に復讐の提案をした…が


「んーん……いいよ…復讐なんて……」


「いやっ……でもよ…さすがに…」


「ほんとに大丈夫だよ…僕はもうあの人達とは関わりたくないんだ……」


「……」


「僕はまた玲也と一緒に入れるってだけで充分だよ」


また無理矢理作った笑顔だ……クソッ


俺は冬馬の意見を尊重した…マジでむかつくが本人の意思が一番だ…今とりあえず冬馬のメンタル面をどうにかしなきゃな



それから俺達いつもと同じ様に二人で楽しい時間を過ごした




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

遭難したら皆に裏切れたけど僕にはあの二人がいる ぱぴぷ @papipupeo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ