第4話 暗き森林の殺人事件 ー①ー
「そんな怒る?」
私だって生きてるし血も通ってるし悲しい気持ちにだってなるし。
それをまるで機械みたいにさッ!
ミミラ村の大金持ちアルガ夫妻の専属メイドになれたのは私、
でもあんな思いして殺されたのにあんまり見合ってなくない?
クルネの脳裏にあの男の影がチラつく。
笑いながら私の首に縄をかけて殺したあの男。
私は手に抱えていた洗濯物を落としてその場でうずくまる。
「大丈夫。大丈夫。私は平気。もういないあいつはいない。だから平気。消えろ消えろ消えろ」
目を思いっきりつぶって
私は大きく深呼吸をしてまた洗濯物を抱える。
私が洗濯物を畳んでいるとアルガ夫人が扉を開けた。
「ごめんなさいね?あなたこの包丁、折ったかしら?」
アルガ夫人がわざわざ先が折れた少し錆びた包丁を私に見せながら話す。
「いえ私ではないですね」
「そう?でも変よね。先っぽって訳でもないし半分ぐらい折れてるわよね?」
夫人は頬を触りながら少し錆びた包丁をいろんな角度から見ていた。
アルガ夫人はまだ若く私と実年齢が近いのでまるで友達のように接しられる。
「奥様、そんなに見られても包丁は生えてきませんよ」
「フフフッそうね。でも折れた欠片が見つからないのよーグアンちゃんが触ったら大変──あらグアンちゃんは?」
私は肩が上がる。
やっば!昼に旦那様に怒られたばっかりなのに!
私は洗濯物を忘れて立ち上がった。
「奥様は見てませんか?」
「そうねー私、お買い物に行ってたから」
自分の息子がいないのに奥様は少し天然なところがある。
「少し探してみますね」
「うんお願いねー」
私は急いで家中を探し回った。
旦那様は幸い書斎で仕事をしている。
どちらも息子を溺愛しているが何故か爪が甘い所があるというか無頓着の所もあるというか。
私だって仕事があるからずっとは見てられないわ!
しかしいつもいる書庫の中、椅子の下にも居ずましてや大声で呼ぶことも出来ない。
私は少し途方に暮れて中庭に出るがもちろんいない。
近くにあった大きな丸石に座ろうと手をつくと何かの粉が付着していた。
「……なにこれ?」
見てみると茶色い錆の削り粉だった。
「え……何で?」
その時、「うふふふッ」という笑い声が聞こえた。
声のした門の方を振り向くとそこにはグアンちゃんが赤ちゃんの頃、持っていた玩具と誰かが走り去る音だった。
私は急いでその玩具を持つと何かが掘られていた。
『玩具を追いかけて』
私の身体の血液が一気に消えるかのような消失感。
「まずいまずいまずい!」
急いで屋敷と門の外を見比べて助けを呼ぼうか追いかけようか迷う。
しかし私は何か思うところがあってその筆跡を今度はじっくり見た。
「あれ?これって……グアンちゃんの文字…だよね?」
キラーコフィン 〜最強、サイコな異世界転生。〜 左右ヨシハル @Yoshiharu__Sayuu
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