1章から4章外伝第6話
俺の屋敷に着くとナナとダイアはすぐさま露天風呂に入る。とはいえ、俺は節約家だから露天風呂はあってもお湯はただのお湯。
しかし、外気に触れて気持ちよく入浴出来ればいい2人にとっては至福の時だろう。
特にダイアにとっては嬉しい事だった。
「気持ちいです」
「当然よ。それよりあんた名前は?」
「ダイアって言います」
「ダイアって言うのね。私はナナよ」
「はい、ナナ様」
「礼儀がなっていていいじゃないの」
自分が俺の女だと思って調子に乗っているナナかもしれないが別に嫁ってわけじゃない。だが頼りになる女騎士で俺はナナの事を好んでいる。
ダンサーだったらダイアだ。あの踊りはダイアにしか出来ないだろうしあの歌声はダイアにしか出せない。綺麗で美しく可愛い幼稚な歌声。そのような声を聞ける奴はなかなかいない。
だから好んでいる。
そんな2人だが風呂では喧嘩し放題かと思いきや意外にも仲良くやっていた。
「礼儀は……いいでしょうか?」
「それでいいんじゃないの? それよりさ、あんた田舎って言ってたじゃん。どこから来たの?」
「メサイア国です」
「メサイア? そこは……」
メサイア国。そこはすでに魔物に襲われ内部抗争が頻発して滅ぼされている。生き残りはいても貧しい生活をしている者達ばかりだ。おそらくダイアはその真実を知らないのだろう。もし知ってしまえば精神的に病んでしまう。そんな状況は避けたい。
もちろんナナもそんな風に思っていた。
「どうかしましたか?」
「何でもないわよ。それよりあなたは結構綺麗な肌ね」
「そんなことは」
「どうしたらそんな肌になるのかしら?」
「一応カロリーの低いご飯食べたりしてます」
「そうなのねえ」
結構面白おかしく会話していたナナとダイア。風呂上がりで一緒に牛乳を飲んだ。
「おいしいわねえ」
「はい。極上の味です」
「そんなに美味しい?」
「こういうのは中々飲めなくて」
「あんたどんだけ貧乏だったの?」
ナナとダイアは玉座の間にいる俺のところへ行くと俺に挨拶をする。
俺は2人に話しかける。
「おお、露天風呂はどうだったか?」
これにダイアが反応する。
「気持ち良かったです。あの露天風呂には何度でも入れるのですか?」
「ああ、入りたいときに入ってくれればいい」
「ありがとうございます」
ナナも俺に聞きたいことがあるようだ。
「ワンダラー皇太子、今後はいかがいたしましょう?」
実は今日重大なニュースがあった。俺の父上、皇帝が崩御された。
「昨日……知らせが入った。皇帝陛下が崩御された」
これにナナとダイアは驚いた。ナナは慌てて対策はどうするかを聞く。
「どうするのですか? 何の対策もしていないのですよ」
「今日知らせが来たんだ。すでに兄様達は争っているところだろう」
「そんな……」
「俺はすぐにエレメント帝国城にいかなければいけない」
「はい、私も同行します」
「すまない。ダイアは留守を頼む。何かある時はメイド共を頼ってくれ」
「かしこまりました」
俺はナナと共に馬を飛ばし、エレメント帝国城へ向かった。
今は一刻を争う緊急事態。皇帝の葬儀はもちろんのこと。その後は内部抗争が起きることは兄様達の性格からして明らか。何としても止めなければいけないと俺は思っていた。
エレメント帝国城門前に着いた俺。いよいよ兄様達とご対面だ。
お姫様好きのキモオタ野郎、転生したら貧しい農民の6女だったが、チート能力を手に入れ王子様のような人と出会いお姫様となる。 長尾水香 @nobusige11
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。お姫様好きのキモオタ野郎、転生したら貧しい農民の6女だったが、チート能力を手に入れ王子様のような人と出会いお姫様となる。の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます