震えた手で、男が手紙を取り落とした。


 かき集められた落ち葉が、その前で大きく燃えている。


 男は手紙を、意図してか、落ち葉の火の中に落として、間も無く火が手紙を覆い尽くした。


 男は刑務官の見守る中で、火を起こしていた。


 暖かく身を包む火の中で、男は静かに涙を落としていた。


 焚き火は勢いを落とす事はなかった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

その時レッドカードが提示された。 転々 @pallahaxi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ