第8話 先が見えない闇
☆陽毬サイド☆
ホームルームが終わってから瞬くんと永島くんが面白おかしく話していた。
私はその姿を見ながら近付く。
それから「何の話をしているの?」と笑顔で聞いた。
すると瞬くんが「ああ。例のゲームの話だな。コイツはまたそういう事をやっているらしいから」と返事をした。
「また?もー。永島くんのエッチ」
「俺は昔からエッチなんすよ。陽毬さん」
「でもそういうゲームばっかりしていると毒されるよ?」
私はそういう話は嫌とは思わない。
何故なら昔から永島くんはこんな感じだから。
でもその分、根っから良い人だって知っている。
誰かが困っていたら人一番で駆け出して行くのだ。
そういう所は憧れるし尊敬する。
「毒されないっすよ。あはは」
「もー。そう言ってまた誤魔化す」
「誤魔化してないっすよ」
「いや。誤魔化しだろ。良い加減にしろ」
それから2人は私を見ながら笑みを浮かべた。
私はその姿を見ながら柔和になる。
そして2人の会話を聞きながら微笑みを時折浮かべていた。
驚いたり。
泣いたり笑ったり。
楽しくて仕方がなかった。
これは印象深い人が側に居るせいだろうか?
そう思っているとチャイムが鳴った。
「あ。チャイムが鳴ったな」
「そうだね。戻ろう」
「俺も戻るわ。じゃあなカス」
「何つった今」
「おう。カスって言ったな」と胸を張る永島くん。
私は苦笑いを浮かべながら引き攣った笑みを浮かべる瞬くんを見る。
それから私達はそれぞれの椅子に腰掛けてから次の時間の授業を受けた。
次の時間は化学だった。
面倒臭いものである。
☆
そういえば.....流星ちゃんはどうなったのだろうか?
何も瞬くんは話さないから状況が分からない。
思いながら私は意を決して胸に秘めていた言葉を吐き出した。
「瞬くん。流星ちゃんは.....」という感じでだが。
すると瞬くんは一瞬だけ顔を上げたが直ぐに曇った。
「お腹が痛いそうだ」
「.....そっか」
「ああ。今は気にしなくて良いんじゃないか」
「何か珍しいね。その。皆勤賞を目指していたのに」
「.....そうだな」
「.....」
「.....」
私達は黙った。
そして瞬くんは気まずくなったのか「トイレに行く」と言ってからそのまま教室から出て行ってしまった。
その背中を見送ると永島くんが「どうしたんすかね」と聞いてきた。
私はそんな言葉に首を振る。
「気にしないで」
「.....そうっすか?気になりますけどね」
「ああいう人間だよ。彼も悩んでいるんだよ」
「そうっすかね.....」
「私は大丈夫だって思う」
そして「私もちょっとお手洗いに行って来るね」と言葉を発した。
それからそのまま教室を複雑な思いで後にした。
何か本当に重い。
心が重たい。
どうしたら良いのだろうか。
そう考えながらトイレに入る。
するといきなりスマホが鳴った。
「!?」
私はビクッとしながらスマホを観てみる。
すると電話の相手は.....何故か分からないが流星ちゃんだった。
私は驚愕しながら「もしもし!?」と電話に出る。
そうしていると小さな声で今にも消えそうな声で『もしもし』と声が聞こえた。
ホッとしながら私は「どうしたの?」と聞いてみる。
流星ちゃんは泣いている様だった。
声が消え入りそうだ。
本当にか細い声であった。
私は眉を顰めて個室に入る。
「.....流星ちゃん。どうしたの?落ち着いて」
『私は.....死ぬ根性もないです』
「.....死ぬって.....」
『自殺をしました。だけど死ねなかった』
「.....それって本当に?」
『はい。陽毬さんだけに話します』
『大切なお姉ちゃんだからだから貴方に話しました』と言いながら涙を流している様な感じで声が霞む。
私はその言葉に唇を噛む。
それから天井を見上げてみる。
そして頬を叩いた。
「.....流星ちゃん。話そう。瞬くんにも」
『嫌です。嫌.....』
「でもこれじゃ.....貴方が.....」
『知っています。どうなるかは。だけど私は今は話す気にはならないです』
「.....そっか。じゃあ私だけに全部話して」
『そうですね』
それから私に対して『私は鞠。お姉ちゃんのお兄さんと付き合っています』と話してきた.....え?
私は一気に青ざめる。
今の私の顔は具合が悪そうな感じの女子だろうってぐらいにというか冗談を言っている場合ではないだろう。
今なんて言った。
「待って。どうなっているの.....」
『私は鞠に手玉に取られているみたいです』
「.....何で鞠なんかと付き合っているの!?」
『言えません.....』
「待って。それって肝心な事だよ!お願い.....話して」
時間切れの様にチャイムが鳴る。
だけど私は教室に戻る気すら起きなかった。
今はそんな事をしている場合ではない。
力づくで答えを彼女から引き出さなければいけない。
絶対にこのままではダメだ。
怒りで目の前が歪む。
「鞠と付き合っているのは何かきっかけがあるの?」
『.....はい。.....全部、貴方を守る為です』
「.....え?」
『鞠はお姉ちゃんに暴力を振るっていますよね』
「そうだけど.....何で。何でそれを知っているの.....」
『この前、色々な情報が入ってきました。だから私は鞠と付き合う事にしました』と話してくる流星ちゃん。
私は力が抜けて体が崩れ落ちる。
そして愕然とした。
どうしたら良いのだ。
これは.....どうするべきなのか?
私はどう流星ちゃんをサポートしたら良いのだ。
(激・新)彼女は義妹ですがNTRたみたいです。なので俺は真相を確かめる事にしたのだが.....? アキノリ@pokkey11.1 @tanakasaburou
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