第7話 エロゲマンと弁当

☆星空瞬サイド☆


正直言って流星の気持ちもそうだが。

陽毬は、信頼されてないみたいだね、と泣いていた。

俺はその事もありながら翌日を迎える。

流星が7時30分を過ぎても下に降りて来なかった。

心配になってからノックするが。


返事としては、お腹が痛い、とだけ答えた。

そしてそのまま、ごめん。今日だけチンご飯食べて.....、と回答される。

俺はその言葉を受けながら、分かった。行ってくるけど。.....何かあったら電話とかで呼べよ、とだけ言葉を発する。


心配だがもしこれで学校を休んだら陽毬もそうだがアイツにも何か言われる。

永島春樹(ながしまはるき)。

俺の友人である。

腐れ縁とでも呼べるかもしれんが。

エロゲ好きの変態。


ソイツに会うのを想定しながら玄関を開けると。

春樹が、よお、と立っていた。

坊主頭にそばかすが特徴的な青年。

格好良い姿というよりかは健康的な少年と言える。


「珍しいなお前。こっち方面じゃないだろ?」

「それな。でも新作のエロゲを勧めたくてなお前に」

「朝っぱらからパーリーか頭は?死ねよ」

「はーっはっは!死なん!はっはっは!!!!!」


春樹は笑顔になりながら返事をする。

そして俺達は歩き出す。

因みに陽毬だが日直の関係で先に行った。

ん?、と違和感を感じた春樹。

それから、なあ。流星ちゃんはどうした、と聞いてくる。


「.....あー.....アイツは遅れてから登校するって」

「?.....ソイツは難儀な。何かあったのか?」

「何もないよ。.....ただ調子が悪いそうだ」

「ふーぬ。そうか」


春樹は小石を蹴っ飛ばす。

それから後頭部に手を添える。

俺はそんな大欠伸をする春樹を見ながら苦笑いで歩く。

すると春樹は、なあ。瞬さんや、と言ってくる。

その言葉に、何だ?、と聞くと。


「何かあったら俺を呼べよ?」

「.....お前はお兄ちゃんか?」

「頼りになるだろ?」

「ならん。お前の様な変態はな」

「は?殺すぞ?」


なんて事を言うんだ、と言いながら春樹は不満そうに歩く。

その顔に、すまんすまん、と謝る。

それから交差点に差し掛かってから。

俺達は信号を待つ。

そうしていると、お兄ちゃん、と声がした。


「.....?.....美春?」

「お弁当をわす.....あれ?瞬さん」

「こんにちは。美春さん」


セーラー服を着た栗毛色の髪の毛の美少女。

長髪のEラインが素晴らしい美人。

当たり前だが春樹に似てない。


永島美春(ながしまみはる)。

信じられないがこの娘は.....春樹の義妹である。

だが春樹は、決して手出しはしない、と誓っている。

二次元の義妹に手出しして恋をしているとは思えない男の言い分である。


「お兄ちゃん。瞬さんに迷惑を掛けてないよね?」

「アホ言え。俺はそんなクソじゃない」

「えっちなゲームばっかりしているからそうかなって思って」

「.....失礼だなお前」


因みにだが美春さんはえっちなゲームをしているのを知っている。

中学生ながら美春さんは大人っぽい部分もあり。

あまり時間を守らないで酷いと春樹のゲームを全部捨てる。

そして春樹が泣く感じだ。


「それではお兄ちゃんを頼みます。瞬さん」

「ああ。任せられたな。.....このアホの面倒は」

「おい。アホっつったかコラ」

「そうだな。正確にはエロゲアホ」

「オメーさん喧嘩売ってる?」


そんな喧嘩していると信号が青信号になった。

俺達は慌てて美春さんに、じゃあ行ってきます、と挨拶してから駆け出す。

反対側の中学校に通っている美春さんは、はーい、と笑顔で母親の様に見送ってくれながら手を振ってくれた。

俺達はそれに振り返しながら俺は、美春さんの特製弁当を忘れるた良い度胸だなお前も、と苦笑いを浮かべる。


「ウルセェなぁ.....昨日深夜まで、ラブラブ♡おにーたん♡、っていうエロゲをやっていたからな」

「お前本当にカスいな。何だよ義妹居るのに」

「三次元と二次元の現在を混同してはならぬ。紳士は変態だが真の変態は三次元に手出しはしない」

「待て待て。18禁は良いのか」

「良いのだよワトソン君」


走りながら汗をかきつつニカッと笑む春樹。

良い奴なのか悪い奴なのか。

意味が分からないが取り敢えずは急がないと。

じゃないと遅れちまう。


思いながら俺達は駆け出してからそのまま校門に滑り込んだ。

それからスキンヘッドの巌の様な体躯の体育教師の飯田の、早く行けよー。時間無いぞー!、という脅しと地面に竹刀を叩きつける音を聞きつつそのまま教室まで駆け上がって行きながら。

とにかく走りまくった。


「あー!疲れた!!!!!チクショウめ!!!!!」


と。

何とかホームルーム5分前に教室に入り込んだ。

ずっと走っていたのでメッチャ疲れた。

その様子にクスクスとみんなが笑う。


同じクラスの陽毬も。

最悪だが.....悪い気はしない。

遅れた理由がそれなりの理由だったけど悪いもんじゃないから。


しかし流星は大丈夫だろうか?

心配ではあるのだが。

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