第2話 声の正体は

「おい、起きろ。いつまでこんなところで寝ているつもりだ」

「んん…ここは…?」

「お前、一体何者だ? そんな怪しい格好をして、この辺りの者じゃないな?」


何この人、王子様みたいな服着てるけどコスプレかな。今日、何かそういうイベントあったっけ?

それにしても綺麗な顔。お人形さんみたいってこういう人のこと言うんだろうな。


「お前、言葉が通じないのか? どこから来たんだと聞いている」

「ここは…日本じゃないの?」

「ニホンなんて国、聞いたことがない。お前、どこかの国のスパイか?」

「スパイなんかじゃないわよ! ていうか、ここ日本じゃないの?」


ちょっと待って、記憶の整理をしよう。色んなことが起きすぎて、頭の中がパニックです。

たしか私は、自殺したはずだったよね。飛び降りた時の感覚がまだ鮮明に思い出せるし、これは間違いないはず。

それから、飛び降りた時にすごい眩しい光を見たことも覚えてる。誰かは知らないが、優しい男性に声をかけられたことも。

"─────という言葉を知っているか?"って問い掛けられたのもぼんやりだけど覚えてる。けれど、その後の記憶がない。

私が記憶を辿っていると、再び声を掛けられた。


「おいお前、出身地と名前を言え」

「生まれも育ちも東京で、名前は…あれ、なんだっけ?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

目が覚めたら冷徹国王の皇后だった件について。 二葉治 @mfaoryu1747

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ