02.一緒に帰ろうか、後輩君

「お疲れ、後輩君」


「……そりゃあ、彼氏の為に学校で待つことくらい、大したことじゃないさ」


「……そう、彼氏だよ、彼氏。もう三か月もたつんだから、いい加減自覚してほしいなあ」


「こんなに可愛い彼女を手に入れたんだから、もうちょっと顔とかに出してくれてもいいと僕は思うんだけど、ね?」


「……それより、君がクラス委員になるなんて思ってなかったな。そういう面倒くさいことをするのは嫌いな方だと思ってたけど」


「……なるほど、断れなかったんだね。確かにそれは君らしいかも」


「……」//小さく深呼吸


「学校生活も上手くいってるようだしね、僕みたいに浮いて一人ぼっち、なんてことになったらなんだか申し訳ないしさ」


「ああ、同情はしないでいいよ。自業自得だし、半分自虐。そうやって気を使われる方が却ってむなしいじゃないか」


「そんなことより、さ」


「……もう一人の……クラス委員……あの女の子」



「彼女と何話してたの?」//凄い声低く




「委員会の話にしては長かったよね?なんだか楽しそうにしてたよ?あんなに楽しそうな顔、僕以外に見せたりするんだね。……偶々話が弾んだだけ?そうだよね、そうじゃないと……私、ちょっと嫉妬しちゃうな」//追いつめるような言い方、少し早口で、声は少し低いまま


「仲いいのかな。番号とか交換してる?ねえ」


「……君には僕がいるでしょ。まさかね、浮気なんて、そんな訳ないよね?」//身を乗り出して 声更に近く、目の前で


「そうだよね。ごめんね、ごめん。そんな訳、ないのにね。君がそんなこと、する訳ないのに。君が一番好きなのは僕なのに、なのにね」


「……」//浅く息を吐いて


「……ぷっ」//間を開けて、吐息こぼしながら、噴き出すよう笑って


「……なぁんて、ね! どうかな、怖かった?」


「嫉妬と独占欲にまみれた女の真似。僕には無縁の話だけど、君が僕のことを放っておいたりしたら……冗談だよ、冗談!冗談だって!最近君で遊べてなかったからさ。ちょっとだけ、ちょっとだけ揶揄いたくなっちゃってさ!……確かに悪趣味だったけど、まぁいいじゃないか」


「……ほ、ほら、可愛い彼女のサプライズってことでさ」//ばつが悪そうに、苦笑いしながら


「……ごめんって、悪かったよ。やらない、もうやらないよ、こういうやり方はしないから」


「悪かったよ、もうしない、しません。後輩君を困らせる悪戯はしない!……約束するよ、度が過ぎたものは私も嫌だしね」


「そうだな、お詫びに可愛い可愛い彼女の僕と一緒に帰る権利を上げるよ、後輩君」


「ふふ、いつも一緒に帰ってるもんね、お詫びにならないか」


「不服かい?確かにそれはわかるけど……まぁ、とりあえず帰ろうよ、後輩君」


「君が学校の皆に、僕と痴話げんかをしているところを見せつけたいっていうなら、構わないけどね?」//se 帰り道、足音。服の擦れる音


「……なんだい、後輩君。……ふむ、ふむ」


「おいおい、折角かわいい可愛い先輩が身体を寄せてあげてるのに、真っ先に出る感想が歩き辛いなのかい?」//声は顔のすぐ下辺りから


「ほら、さっきのお詫びに仲のいいカップルなんだよって所、アピールしてあげようと思ってさ」


「これで君がちょっと大袈裟に喜んでくれれば、それでオーケー、そうは思わないかな?」


「わぁ、こんなに可愛くて甘えてくれる先輩が彼女なんて、僕はなんでとっても凄いんだ!ってね」


「だって凄いじゃないか。1年生の君が、3年生の、可愛い可愛い先輩を彼女にして、こんなに懐いているんだよ?それこそ鼻の下でも伸ばして、下品な喜び方をしたっていいのに」


「……まあ、そうだね。さっきのやり取りをちょっとは気にしてるってことさ。だからいつもよりすこぉ~し、甘えたになってるのかもね?」


「もしかしたら、君の機嫌を悪くして、嫌われたんじゃないかな~とか、これがきっかけで捨てられちゃうんじゃないかな~、なんて、考えてたりするかもよ?」


「ああ、ごめんごめん、これも君が喜ばないタイプの悪戯だったね。勿論そんなこと、君がするとは思ってないよ。安心して」


「……」//小さく吐息こぼして、考える素振り


「う~ん、いや、やっぱり君にちょっと、そんなことしないよ~って所、見せてもらおうかな」


「ほら、ねぇ、あれやろうよ、あれ。肩に手回して、ぎゅ~って、やるやつ。俺のものアピールっていうのかな?」


「やってよ、ねえ」


「……」//反応を伺うように、//se 頬とか指でつついて


「そんなに恥ずかしがらなくてもいいじゃないか。こんなに可愛くて頭のいい先輩が彼女なんだよ?見せつけないほうが損だと思うよ、僕は」


「まあわかるよ、いつもはこんなこと言わないし、そんな浮かれたことをあんまりしなさそうって言いたいんだろう?」


「……だから、偶々さ。たまにはそういうこともしたいんだよ、ね、いいだろ?かっこいいとこ見せてよ、か・れ・し・くん♡」//se 抱きしめる音(ぎゅうぅ~、みたいな、布すれ感あると良し)


「ん、ん……もっと、強くてもいいん、だけどな」//囁くような声


「ん、ん、ん゛……あ、は゛♡、強すぎだよ、後輩君、痛い、じゃないか」//少し苦しそうで、満更でもない声


「だめ、だめだよ、弱くしちゃだめ」//se 手を伸ばして、抱きしめ返す音


「僕がいいよっていうまで、そう、そうそう。そのままだよ、そのまま」


「このまま、ピース、なんてしちゃったりして……ちょっと下品かな?」


「冗談、冗談だって……ん、ん♡、いいよ、もう大丈夫」


「……ん、は♡やればできるじゃないか。ふふ、誰が見ても君のものになっちゃったって感じだね?」


「でも驚いたなあ、僕が言ったからとはいえ、帰り道の途中でやってくれるなんて。……本当はやりたかったんじゃないの?」//話しながら、服にしがみついて、耳元に息吹きかけ


「男らしくて、かっこよかったよ」//囁き声、耳元


「……さっきまであんなにかっこよかったのに、そんなに顔真っ赤にしちゃってさ、可愛いところもいいよね、後輩君は」


「……」//話を聞く


「ええ、そうかな?そこまで今日の僕は変かい?……まあまあ、偶には浮かれるときもあるんだよ。僕だってまだまだ高校生なんだから、どろっどろの甘くて、思い出したら恥ずかしくなるようなこともいっぱいしたいのさ」


「そうだな、そこまでいうなら……頼れる先輩の面もみせようか。というわけで、勉強の方はどうかな、後輩君」


「もうすぐ試験だったと思うけれど……」


「その顔は芳しくなさそうだね」


「よし、それなら僕が君の勉強を見てあげようか。今度の休みに僕の家で、ってことでどうかな?」


「うん?……あは、ちょっといやらしいことを考えたね、後輩君」//笑い含む感じで


「そうだよ、一人暮らし」//囁き声


「一人暮らしの可愛い先輩の家に、休みの日に遊びに来て」


「初めての彼女のお家、いつもより隙の多い僕……」


「もし君がそういうつもりなら、僕だって……」


「……あはっ♡大丈夫、大丈夫だよ。僕は逃げたりしないよ。勉強会さ、ただの勉強会」


「……うん、話してたら着いちゃったね。家が真逆で悲しいよ、僕は」


「もっともっと話していたいのに。この焦れる感じには慣れないなぁ」


「……ふふ、そうだね、またすぐ会えるよね」


「……次の休み、楽しみにしてるよ、後輩君♡またね」

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